Amazing
★★★★★
ファンタジー作品は、ストーリーや世界が面白い作品は多い。しかし「美しい」ファンタジーは滅多にない。
平淡な口調だからこそ広がる想像・・・世界が生まれた過程、エルフ達の悲劇、人間の誕生、そして悪。美しさ、壮大さ、ストーリー・・・ファンタジーの極致として良いのではないでしょうか。
世界を立ち上げる
★★★★★
田舎の片隅、真夏の猛暑の中読みました。
そんな現在にいる私の中で、壮麗で重厚なシルマリルの物語はその世界を立ち上げてくれました。
ただ美しいだけではないエルフ族のドラマには呑み込まれるような恐ろしさを感じたほどです。ファンタジーは大好きでそれこそ中学生だった頃から読み漁っていますが、今でも一番好きな本です。ただ、重厚さ故に確かに万人受けするものではないかもしれません。やはり指輪物語を読み、その上で手を出すと感動もより大きいかと。
特に学生諸君は注意すべし
★★★☆☆
指輪物語を勢いで二周して、そのまま勢いでこの本を買ったのだが、長い長い固有名詞の連発に萎えて未だに読めていない。生粋のファンタジーファンなら問題ないのだろうが、平易な文章(児童文学など)しか読んでいなかった当時の僕には辛かった。今はまだ読む気になれない。高い買い物なので、指輪物語と同じような冒険小説ではないこと、自分が本当にトールキンに心酔しているかどうか(?)をよく考えてから買うかどうかは決めた方がいい。とにかく僕のような子供にはキツい一冊。
トールキンが遺したもの
★★★★★
『シルマリルの物語』は、J.R.R.トールキンの没後4年後に、息子クリストファによって編纂されて出版されたものである。
この「新版」は邦訳初版から21年ぶりに訳しなおされたもので、トールキン研究家でもある伊藤盡さんの協力により、固有名詞等より原音に近い形でカタカナ表記される事となった。その結果、一部『指輪物語』とは整合性に欠ける事になったが、こちらの表記の方が正確である。例えば、ヌメノール→ヌーメノール ナズグル→ナズグール。
あとがきにもあるとおり、この本を読まれようとされている方は『指輪物語』を先に読んでおられると思われるので、アラゴルンの遠い祖先の物語である「アカルラベース」やあるいは「力の指輪と第三紀のこと」の編から読まれたほうが取っ付きやすいかもしれない。
そして、この本の後ろの方に掲載されている系図や付録の地図を行きつ戻りつ参照しながら「シルマリル」をめぐる物語を読み進んで欲しいと思う。登場人物や固有名詞がたくさんあり複雑な、小説というよりも、どちらかと言えばトールキンワールドの概説書に近いと思われていた物語が、いつしかトールキンが遺した美しくも物悲しい壮大な物語の体系となし、その世界観に圧倒され、魅了してやまないものとなるに違いないと思うからだ。
新訳で読みやすくなった、トールキン作品の背景にある物語
★★★★☆
トールキンが数十年の歳月をかけて構築したアナザーワールド「ミドルアース」は、その後のファンタジー(ダンジョンズ&ドラゴンズに始まるRPG全体にも!)に多大なる影響を与えていますが、本書では、その全容を詳しく知ることができます。
「指輪物語」「ホビットの冒険」ではちらっとしか現われてこない英雄や神々の物語について、その詳細な裏付けが語られており、「なるほど、こうした裏設定が、トールキン作品のリアリティを支えていたのか」と、マニアの方にはまたらない内容だと思います。
新版の新訳でかなり読みやすくなったと思いますので、旧訳版よりこっちをおすすめします。
ただ、マニア向けなのは間違いなしですので、まずは「指輪物語」「ホビットの冒険」を先に読破されるべきでしょう。