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Tabula Rasa, etc / Kremer, Jarrett, Davies et al

価格: ¥1,946
カテゴリ: CD
ブランド: Ecm Records
Amazon.co.jpで確認
   この大きな意味をもつディスクは、いまやほとんど、とても受容力のある聴衆を見出しているミニマリズムがもつまったく新しい力に対するマニフェストのように見える。これはエストニアの作曲家アルヴォ・ペルトにとって大きな進展を意味する。

   彼の音楽は、ヨーロッパの仲間たち――ヘンリク・グレツキやジョン・タヴァナー――の音楽と同様、精神的な啓示を暗示する厳粛なまでに美しい簡潔さを追求する。ここでは2通りの演奏、1つはピアノとヴァイオリン、もう1つは12本のチェロで収録されている「フラトレス」は、典礼聖歌に似た反復進行を単調な調子で繰り返し、アルカイックであると同時に時間を超越しているようにも見える1つの感性を伝える。

   ヴァイオリニストのギドン・クレーメル――ペルトは彼のためにすばらしく瞑想的で、眠りに誘い込むようなタイトル作品を書いた――は、禅宗の公案にも似たこの曲の特質をとらえており、プリペアード・ピアノのカーンという謎めいた音に対抗して、きわめて繊細、霊妙な少量の音を通して内面の充足を鳴り響かせている。

   「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」で鳴る組み鐘の音は、単純な下降する短音階にもとづいて、感情的に激しい悲しみを表している。これは自身で“鈴の音”と呼んでいるものを使ったペルトの魅力を世に紹介するもので、“鈴の音”とは鐘が鳴るときの文字どおりの、そして隠喩的な音色である。

   ECMのマンフレード・アイヒャーがプロデュースしたこのレコーディングはまた、アコースティックな心地よい臨場感でもよく知られており、ペルトの音の世界の神秘的な簡潔さが見事にとらえられている。(Thomas May, Amazon.com)

シンプルだからこそ聞こえてくるものがある ★★★★★
クレーメルの演奏は力強く、繊細で、心に響く。特にこのCDでのFratres と Tabula Rasa の演奏は、他の演奏と聞き比べるまでもなく、これさえ聞ければ良い、と思ってしまうほど説得力のある演奏です。

ペルトの音楽は耳を傾ける必要もなく、自然に耳に入り、精神まで到達してゆきます。これはクラシック音楽の難しさや偉大さを嫌う現代には極めて重要なことです。
彼が中世やルネサンスの音楽に傾倒していることは、現代の私たちが伝統的なものや中世音楽を聞いたときに感じる精神的な高揚感を作り出していることから理解ができます。ただ中世音楽に近いというだけではなく、それの持っているエフェクトや素質を非常に巧みに抜粋し、個性的で完成度の高い楽曲を作り出しています、だからこそ自然に聞けるのでしょう。
ペルトは古代の音楽や哲学から音楽を創っていますが、20世紀以降に利用可能な楽器や音楽的テクニックを起用して作曲しています。例えば、バイオリンは現代的な奏法で演奏されているのですが、非常に自然に古代の音楽の雰囲気を感じます。これはペルトにしか出来ない技術でしょう。

更には、中世の音楽を復興しているというよりはそれを更に神秘的に表現しているようにも感じられ、現代の世の中の精神や文化の深さと同時に複雑さを理解し、その中から産まれてきたただ一つの選ばれた美しい音だけが鳴っているとでも言うのでしょうか。旋律がシンプルだからこそ、その中に複雑さや色々な意味が自然に湧き出してくるように広がり、それ故、私たちの精神を綺麗に満たしてくれる音楽なのではないかと思います。
Tabula Rasa ★★★★★
繊細、悲痛、陰鬱、精緻にして華麗。
己の内側へと深く深く入り込んでゆくような、
水底に沈む星のかすかな瞬きを見つめるような、
とおくから響く死者の声にそっと共鳴するような、
暴力的なまでにうつくしい冬の夜明けを為す術もなく見るような。
酷く懐かしいものが手の届かないところに立ち現れるのを見守るような。

北方現代音楽のみならず、シガーロスあたりがお好きな方にもお薦めします。記憶に眠る原風景を掘り起こされる感覚。
アルヴォ・ペルトを世界に紹介した功績大のCD ★★★★★
ECMは、レーベル発足当時は、マル・ウォルドロンのアルバムが最初だった性か、どうしてもジャズ系の音楽レーベルと思いがちだった。マリオン・ブラウンや有名なカモメのジャケットの「リターン・トゥー・フォーエバー」やキース・ジャレットの一連の作品群、エバハード・ウェーバーのベース作品、オレゴンやパット・メセニー等々。しかし、ECMとは、「Edition of Contemporaly Music」の頭文字であった。このCDでアルヴォ・ペルトという作曲家が世界に紹介された事による反響は、凄かった。それまで、他のレーベルが採り上げなかった作品群をこぞって録音、発売しはじめたのである。BISやシャンドスなどのレーベルは、ティンティナブリ奏法以前の作品まで発売し、このCDに収められた「フラットレス」の室内管弦楽団版など洗いざらい録音している。勿論、ECMは、コンスタントに質の高い作品の紹介に努めている。
このCDの発売により、現代音楽に対する見方ががらりと一変した事(例えばグレツキの交響曲が売れたりといった)は、マンフレッド・アイヒャーの功績による所が大きい。素晴らしい仕事である!
素晴らしい組み合わせ、クレーメルとキース! ★★★★★
1984年発売。最も注目の『Fratres』は1983年10月Baselで録音。
ギドン・クレーメルの演奏をNHK交響楽団/アルバン・ベルグのヴァイオリン・コンチェルトを聴いた時の感動は今も忘れられない。そして、日本武道館でキース・ジャレットのソロ・コンサートを聴いたときの感動も、その背中を歪めうなり声をあげながら弾き続ける姿も忘れられない。

二人は僕の頭の中の別のドアに分けられ、イメージと感動を積み重ねてきてくれた。

その二人がともに演奏するという奇跡が起きた。奇跡を起こしたのはまたしてもマンフレート・アイヒャーだった。

アイヒャー自身も元々はベルリン・フィルに在籍していた人物だ。すばらしい演奏家を見抜く力は誰よりも鋭い。ECM Newシリーズの白眉が本作だ。

また、ベルトの曲も素晴らしい。二人の演奏以外の曲も素晴らしい。自宅でじっくりおちついて聴きたいアルバム。

素晴らしい組み合わせ、クレーメルとキース! ★★★★★
1984年発売。最も注目の『Fratres』は1983年10月Baselで録音。
ギドン・クレーメルの演奏をNHK交響楽団/アルバン・ベルグのヴァイオリン・コンチェルトを聴いた時の感動は今も忘れられない。そして、日本武道館でキース・ジャレットのソロ・コンサートを聴いたときの感動も、その背中を歪めうなり声をあげながら弾き続ける姿も忘れられない。

二人は僕の頭の中の別のドアに分けられ、イメージと感動を積み重ねてきてくれた。

その二人がともに演奏するという奇跡が起きた。奇跡を起こしたのは、またしてもマンフレート・アイヒャーだった。

アイヒャー自身も元々はベルリン・フィルに在籍していた人物だ。すばらしい演奏家を見抜く力は誰よりも鋭い。ECM Newシリーズの白眉が本作だ。

また、ベルトの曲も素晴らしい。二人の演奏以外の曲も素晴らしい。自宅でじっくりおちついて聴きたいアルバム。