覗いてしまったのだ 16だった私は、果てしなく深いひとの心の闇夜を。人はいつか死ぬ。愛する人たちにさよならする日が 嫌おうにもなくやって来る事を。そして知る、絶対的な恐れと自分の甘え。あの日から、この曲達と共に私はもう一度生きようと思えた。亡くしたものを受け入れ、現在を生きる事の残酷な美しさ。それは、死にたいくらいの闇夜を越えた者にしかわからない。 私以外のあなたにも乗り越えてほしい。 見上げればそこには あなただけの空が見えるだろう。

祥子さんのアルバムは何枚か持っていますが、このCDが一番好きです。自分の持っているCDで５枚選ぶとすると絶対入れるアルバムです。CD全体的にはモノクロなイメージが僕にはあります。このモノクロさが特に冬場に”ひとり”で聴いていると心に染み渡るものが、全ての曲の歌詞/メロディ/サウンドにあると思います。

私が買った２枚目の祥子さんのアルバムです。
買った当時､一番ショックを受けたのはHappinessの冒頭でした。
「ねえ、どうして手を離すの？」
その言葉と意表をついたメロディラインに驚きを覚えました。
また、silent dreamの歌詞の世界観に涙しました。
子供の頃の風景が目に浮かんでくるような､物悲しいけど懐かしい景色。

しかし、一番好きなのは・・というより祥子さんの歌で最も好きな歌が、１曲目のsweet thingです。
最初はピアノのシンプルな音で始まるのですが､どんどんと音が重なっていき、一気に壮大な景色が広がります。
映画のような､オーケストラのような感覚。
単純だけどとても意外なメロディライン。
歌詞の持つ美しさや懐かしい風景。
何度聞いても涙があふれます。感動します。

祥子さんの歌全てに共通して感じるのが、郷愁です。
彼女の歌を聴いていると､どこかへ帰りたくなってくるのです。
どこか遠くへ。

ふと、最近この歌詞を思い出した。その昔、学生時代に友人から借りたカセットテープの中にこの歌詞があった。何故突然思い出したかはわからないが、アーティスト名も曲名も覚えていない。でもどうしても気に一つ一つの手がかりからようやく発見したCD。いちかばちかでユーズドで購入し、家に届いたその瞬間に早速、ＣＤを聴いてみた。
涙がでそうなくらい感動した。このＣＤだった。

穏やかで静謐なアルバムです。
鈴木祥子嬢のキャリアの中でターニングポイント的な作品。
ピアノの旋律が印象的な楽曲と物静かだけど力強い歌詞。
ラストまで聞くとカタルシスを味わえますよ。