一人の勇気はみんなの力に
★★★★★
黒人差別と戦った、ローザ・パークスという女性を知っていますか?
舞台は1955年のアメリカはアラバマ州モンゴメリー。
当時はお店の入り口から、すわる席、さらには水飲み場、タクシーまで
黒人は白人と分けられていました。
何事も白人が黒人に優先されるような社会だったのです。
バスは、白人と黒人の座席が前後でハッキリ分けられていましたが、
中間の席はどちらが座ってもいいという決まりでした。
混雑時に、その中間の席にいたローザへ、横暴な態度で、席をゆずれ
とせまった白人に対し、彼女は毅然と答えました。「ノー」と言ったのです。
なんと、それがきっかけで逮捕されてしまったローザ。 彼女を救いだそうと、
黒人たちがたちあがり、バスボイコットという大きな社会運動が生まれ
ました。 そして一年後に、バスの席を分けるのは違法との判決を
勝ち取ったのです。
そんな歴史に対峙し、彼女のことを本気で伝えようととりくんだ
作者たちの心意気が、力強く迫ってくる絵本です。
特にコラージュを駆使した絵はみごと。一見すると普通の絵に
見えますが、よくよくみるとパッチワークのように写真等が
一度切断され再構成されていることに気づきます。
当時を支配していた、アンバランスな空気や心理的な不安感が
画面全体から感じ取れました。