哀しみを力に。
★★★★☆
日頃、理不尽なことに、腹を立てることはあるけれど…レヴェルが違〜う。
人が人を差別し、奴隷として主従関係を認めてしまっていた事実に、怒りで涙があふれてきました。
1849年3月30日はヘンリー・ブラウンの誕生日
★★★★★
ヘンリー・ブラウンを知っていますか?
生まれながらに道具として扱われ、売買によって家族関係が無惨に
引き裂かれていく。自分の未来は全て持ち主次第。
しかし、そんな奴隷の運命から脱出しようと勇気ある決意をし、
大胆な方法で成し遂げたひとりの黒人男性がいました。
彼の名がヘンリー・ブラウンなのです。
奴隷といっても主人の許しがあれば、結婚できるし子どもを授かることも
できたようで、その点ヘンリーは恵まれていたかもしれません。
とはいえ、主人にとっては、経済的余裕がなくなると、ヘンリーの
妻や子どもたちを彼に断りなく売りだす、という程度の認識にすぎませんでした。
ヘンリーの悲痛な心の叫びは、絵として直接描かれていません。
しかし感情を押し殺したかのような表現からは、事実の生々しさが
無言の圧力として迫ってきました。
クローズアップを効果的に生かした臨場感あふれる構図や
ページとページの関連性をもたせた構成など、造形的な演出も
みのがしてはならないポイントです。
ちなみに本作は2008年コールデコット・オナー賞を獲得しています。
関連したテーマで「ローザ」「キング牧師の力づよいことば」もそれぞれ
2006年、2002年にコールデコット・オナー賞をとっていることを参考まで
に挙げておきます。
かつて奴隷制度がはびこっていた国に黒人大統領が誕生した
今だからこそ、大きな話題性を持つ絵本ではないでしょうか。
淡々と。
★★★★★
絵本であるから、過激なな内容であっても困るが、大人の感覚からすると悲惨なストーリーが淡々と進んでいくことにさらなる悲惨さを感じる。
昔話というなかれ、こういう歴史があってこそ第44代大統領が生まれたのだから。