大学生の文化を知り、そこからそのニーズにあったサービスなどを行うべきだと言う趣旨なのだろうが、まず大学生に文化があるのかが疑問だ。文化と言うものの定義があまりに安直過ぎる。そして、データから出てくるニーズに応えるのは一見良いことのように思われるが、結果として少数の学生の意見は無視される可能性がある。
学問と言う視点から考えたときに、この本は学問的な価値があるかどうかは非常に疑問である。編集者は上智大学の教授ということらしいが、教育と言う名前を騙った市場研究であるとしか見えない。大学のサービス化は重要だが、ただの企業のようなサービス業に変わってはいけないはずだ。それでは、学生受けのいい大学のみが残り、真に学問の探求を目指す大学という高等教育機関の役割が危ぶまれる。
ただ就職についての記述が無かったところだけが残念です。民間企業からの学生就職活動データはあまりにバイアスがかかることが多く、このような公平な統計データを望んでいます。