本土メディアが書かないお粗末な主権国家日本の真実
★★★★★
「海兵隊基地は何処でもいい」とする海兵隊司令官発言など、本土マスメディアでは書かれない取材記事に本土の方は驚かれるかもしれません。
本文の後編で筆者が尋ねたイタリア・アビアーノ飛行場のことが書かれていますが、
日本人として情けない感情がこみあげます。
お粗末な主権国家「日本」の見たくもない暗部を毎日、沖縄県民は直視しないといけない。
P233
〜その点、イタリアは日本と同じ敗戦国で、大戦後に米軍駐留を受け入れているが、施設管理権は「主権」と同じという意識がある。
オーストラリアとの国境近くにあるアビアーノ空軍飛行場は、イタリア空軍が施設を管理し、毎日の飛行プランを米軍に提出させ、一日に行う飛行回数とルートを規制し、滑走路の使用期限を定めて騒音対策を徹底している。
驚くことには、夏場の午後一時から四時まではお昼ねするイタリアの習慣「リポーゾ」に従い、米軍機もエンジンを切って静かにする。
沖縄ではそんな行儀の良い米軍を見たことがない。嘉手納飛行場では未明でもお構いなしに米空軍戦闘機が住宅地に爆音を轟かせている。
〜中略〜
昼夜の別なく爆音を轟かせる沖縄米軍を見て育った私は「リポーゾ」に気を使う米軍をイメージできないからだ。
アビアーノ飛行場の管理責任者でイタリア空軍大佐はこう語った。
「仮にだね、米軍が管理者の言うことを聞かなければ、私が滑走路を許可しない。それだけのことだ」き然としている。
私は反米主義者、国粋主義者、共産主義者でもないですが、何かと「主権」を口にするプチナショナリストが多々見受けられますが、「主権」という言葉遊びに苛立ちを覚えます。
本土で内向きに「主権」という非日常の言葉を使うのではなく、「主権」が日常ぶつかり合う沖縄でどうどうと米国政府に発言する骨太の政治家、ジャーナリストが本土にいないのは情けない限りです。
地道に取材した渾身の良書です。
情けないお粗末な主権国家日本を直視するための良薬です。
著者は安保問題の取材より作文の勉強をしよう
★★☆☆☆
普天間基地問題で時折名前の出てくる沖縄タイムスの記者の安保問題についての本。内容は、米国側は国防省のマイナー部門の海兵隊、しかも辺鄙な極東、というわけで沖縄の基地はいいかげんに対応し、日本側も面倒なのでやはりいいかげんに沖縄に基地を置いている、よって沖縄に基地がなくてもいい、とするものだ。小林よしのり氏など右の人が憎悪する沖縄タイムスの記者にしては主張性がなく客観的。ある程度の参考にはなろう。
ただし、本書を読んで一番目が引いたのは文章レベルだ。読者の多くは私のレビューを見てないと本書の主張内容がわからないのではないか(本書を理解できなくても読者が悪いのではない、著者が悪いのだ)。全体的にくどくどとして主張がわかりにくい。沖縄に特別な関心がないと途中で放り投げること請け合い。