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受けてみたフィンランドの教育

価格: ¥1,600
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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日本の教育の問題点が良く解る ★★★★★
フィンランドが世界の学力ランキングで高い位置にいることが、数年前から日本のメディアでしばしば話題となっている。日本みたいに大学受験に向けて厳しい勉強をしているわけでもないのに、平均的な学力が高い理由が、この本を読むと良く解る。

日本との相違を強く感じさせられたのは、フィンランドでは日本のような穴埋め式の試験はほとんどなく、読書と作文とプレゼンテーションを非常に重視しているという点だ。フィンランド語では、「勉強」を意味する単語が「読む」を意味する単語と同一というのが、象徴的だ。日本の受験勉強は、問題解法の技巧に走り過ぎるあまり、思考訓練の基礎である読書と作文の量が少なくなっていると言えるだろう。

英語の教育方法も興味深い。日本の多くの学校では、文法を日本語で説明したり、英文を日本語に翻訳したりする。対するフィンランドでは、英語の授業は英語を使って行ない、英文を大量に読み書きする。また、多くの人々が子供の頃からTVで、(吹き替えでなく字幕の)英語の映画を見るので、自然と英語に慣れているのも、英語が上手い理由の一つだそうだ。

欲を言うなら、数学や自然科学の学習方法に関する記述が有れば、なお良かった。数学の試験でも作文を書かされるという記述があったが、授業の内容はほとんど書かれていない。

著者は高校生の時にフィンランドに留学し、この本の出版時(2007年)には日本の大学2年生だった女性だ。文章がいい。フィンランドへの愛情に溢れ、自然で読みやすい文章だ。
日本にもあるフィンランド教育。かなめは教師? ★★★★☆
とにかく読みやすい。奇をてらわない正しい日本語、一年間に及ぶ留学生活の体験談を削りに削った潔さ、母と娘の文章を異なるレイアウトで交互に綴った飽きさせない構成の賜物だろう。自分たちの知っている教育や価値観は、ごく一部に限られるのかもしれない、としている謙虚な姿勢にも好感が持てる。

そして私が体験してきた教育や価値観は、むしろ著者が語るフィンランドのそれに近い。自分が米国で通った小学校はもちろんのこと、日本の私立高校時代の社会の先生、日本の大学全般、わが子やその友人たちが日本の公立および私立学校で落ちこぼれた際に指導される「親の心得」、そして何よりも公立の小中校が目指して実現できなかった「ゆとり教育」が、フィンランド教育ではなかったか。

たしかにそれは、日本社会全体の一部分にすぎないし、日本ではインターンシップだってシステムとしては充実していない。だが、部活動やアルバイトを通じてキャリアを築き、“就職浪人”という大義名分のもと、社会に出る前の猶予期間を楽しむ日本人は結構いる。逆にそう考えていくと、フィンランドの教育や価値観を、日本をはじめとする他国にそのまま持ち込んだところで、即、何かが変わるわけでもなさそうだ。

ただ、真由氏の結論には納得できた。かなめは教師だという。きちんとした授業をやる教師を、生徒たちは尊敬して付いていき、そういう教師を育むのは、保護者や社会であるとしている。私はそんな例を日本でもいくつか目にした。

とかく日本では、生徒たちの家庭に目を向けず、授業だけに徹する教師は、いわゆる“サラリーマン教師”と見られると思われがちだ。しかし、本当にちゃんとした授業をやり、学科に関して生徒たちの質問に真摯に応じる教師は、たとえ厳しくとも「良い先生」だと生徒たちは見抜いている。そして生徒たちに評判の良い教師を、保護者は「良い先生」だと捉える。反面、ぱっと見は青春している熱血教師でも、授業がいいかげんだと、最初は惹かれた生徒たちの心も、やがては離れていき、そうなると保護者も支持しなくなる。とはいえ、今ひとつな教師も、周囲と補い合うことで活かされていく例も、私は日本で見ている。

どうか日本でも、良い先生が孤軍奮闘せずに済むよう、生徒も保護者も社会も含めて、皆で支えていきたいものだ。その先生たちがきっと、生徒や保護者や社会を変えてくれる。少なくとも私は変えてもらった。
フィンランド教育の体験(+日本の教育) ★★★★☆
PISAなどの国際的な学力調査で高い評価を受けているフィンランドで実際に教育(高等学校)を受けた著者とその母親による興味深い報告でした。教育制度だけでなく、学校での試験、進級に対する考え方、近所コミュニティなどまで、教育を取り巻く文化、社会の一端まで知ることができました。
さらに私にとっては、現在日本でどのような教育がおこなわれているのかという点でも得る所がありました。たとえば、62ページで、「日本のように高校入学と同時に三年間予備校や塾に通い、(以下略)」とあったり、77ページで、「日本の学校のテストは、その大半が穴埋め式である。世界史、日本史は穴埋め式のもの以外受けたことはなかった。」や146ページの「私自身[母親]も小学一年生から毎日のように英語の授業がある私立校に通っていたが、(中略)小学校から始めたからといって必ずしもみんな英語が良くできるようになったとは言えないが、(中略)少なくとも外国語に対してアレルギーがある人は少なかった。」など私が知らなかった日本の学校の状況を教えてくれました。
この本の価値とは直接は関係ないのですが、日本の教育の部分について感想を述べるなら、「こんな学力の測定をする歴史の授業なら、本を読ませるだけで十分で、中学校で既にある程度習っているはずだから、高等学校で教える必要はないのではないか?」「ほとんど毎日小学生が英語を学んでも、アレルギーがある人が減少する程度なのか。」「そもそも外国語のアレルギーとは何か?それを他人が持っていないというのはどのようにわかったのか?」「小さいころから外国語を学ぶことで、逆にアレルギーが増える例は無いと言えるのか(小学生から数や式に触れているのに数式アレルギーがあるらしいことを考えると、増える例もありそうですね)」いろいろなことを考えさせる点で有用な本でした。
フィンランド大好き ★★★★★
フィンランドで一時期でも生活ができたなんて羨ましいです。いろいろな体験をしたのが本によってわかります。フィンランドに憧れている人にはお勧めですね。
日本と違う北欧の教育 ★★★★★
日本の女の子が高校生時代にフィンランドへ留学した際に、どういう勉強をしたのかとかどんなイベントに参加したのかを実際に体験した本人が書いている。また、彼女の母親が翻訳家でライターでもあるので、フィンランドの一般常識的なことは彼女が書いている。
学校はタダ、受験もなし、校則もなし。高校から単位制なので、一日中学校にいる人も少ないという。数学のテストは計算機の持ち込みが認められている。この計算機は難しい数式も計算出来るので、方程式なども計算機で出来てしまう。そんなテスト楽勝ではないかと思ってしまうが、問題をどのように考えたかに重点を置いているので答えがあっているとか間違っているとかは気にしない。
その他には、留年というシステムもある。留年と言ってもそんなに重いものではなく気軽に留年出来るらしい。テストはほとんどが作文だというから、その点では大変だろう。
すべてにおいて、日本の教育とは違うフィンランド教育の様々なことが書かれている。
またこれから留学する人たちのためのアドバイスなんかもあり、教育についての本というから難しいのではということも一切ない。
フィンランドに限らず、留学をしてみたい人におすすめです。