変な食べ物
★★★☆☆
著者は日本の変わった祭についての本など書いているエッセイスト/写真家。
本書は、主として日本国内で食べられる変わった食べ物を取材し、おもしろおかしく書いたもの。
取り上げられているのは、ザザムシやなれずしといったオーソドックスなものから、おたぐり(馬の内臓)やメダカの佃煮などの知られざる伝統食、さらには納豆コーヒーゼリーサンドやパイナップル茶漬けという新手の奇食、またシュールストレミングやサルミアッキなど外国の変な食べ物まで。
いずれも著者がみずから食べており、そのとんでもない味、あるいは意外な美味しさをレポートしてくれている。
しかし、全体として初心者向けといった感じの内容。取り上げられている食材も聞いたことがないというものはないし、蘊蓄や解説も通り一遍のものだ。少し物足りなかった。
社会が判じる「寄食」
★★★★☆
タイトル通り、世界中の「寄食」を集めた本。
とはいえ、この本のために世界中をとびまわって奇食を食べた!ということではなく
メインは日本で食べられる奇食で、
外国のものも、お取り寄せなどで手に入れられていることが多いです。
具体的には、なれずしやサボテンといった伝統の寄食、
みかんご飯や甘口イチゴスパといった奇食界のニューウェーブ、
納豆コーヒーゼリーサンドやみそカツ丼アイスといった不思議なデザート、
樹液やカレーラムネといっためずらしい飲み物、
毒キノコやラクダのこぶといった幻の珍グルメなどが、章わけされて説明されています。
それぞれの寄食は、約3〜5ページで紹介されています。
紹介内容は、入手した方法やその寄食の一般的説明、
そして著者自身が食べた感想、白黒写真など。
著者は繰り返し、奇食を奇食と決定づけているのは社会であり
寄食という概念は、その土地や社会によって異なると主張しています。
それは確かにその通りで、「伝統の寄食」の章に登場する食べ物などは特に
従来、その土地では当たり前に食べられていた食物です。
逆に現代の日本ではごく当然に食する鶏肉、卵、魚、根菜がタブー食である地域もあり、
何をたべ、何を食べないかは、その人の属する社会に強く影響されると指摘します。
今は奇食とされている食べ物も、数十年後には当たり前の食べ物になっているかもしれず、
そう考えるとわくわくします。
ちなみに紹介されている中で、食べられそうで食べてみたいと思ったのはハチの巣、カンガルーなど。
食べられそうにないけれど食べてみたいと思ったのは、シュールストレミングとサルミアッキです。
暇つぶし&話のネタ仕入れ用に好適
★★☆☆☆
暇つぶしと雑学習得には役立つ本です。「奇食」の有名どころは押さえているな、という感じです。クジラやサボテンが奇食か?、とは思いますが。それと、「世界」とタイトルに書くほど世界から広く収集されている訳ではありません。
洋の東西をごっちゃにしてだらだらと紹介しているので、ちょっとしまりがない感があります。関連する歴史とか民族文化などの背景をもう一歩踏み込んで紹介して頂ければもっと面白く読め、もっと蘊蓄話のネタにできることでしょう。そこが少し残念です。
それと、著者は文章が下手です。やたら段落替えが多く、読みにくく、語彙も低レベル。小泉武夫先生だったら、この100倍は格調高い文章にして頂けるでしょう。これもちょっと残念。
深みはないけど、軽く楽しめる
★★★★☆
タイトルは大げさですが、文章も読みやすく、気軽に読める一冊。
取り上げられているのはザザムシやフグの卵巣といった有名どころから、ブラックバスや味噌カツアイスなど最近のもの、紙、土などトリッキーなものまでいろいろ。
ただ、世界と謳っているわりに、基本的には日本国内で手に入るものが中心で、それも「お取り寄せ」などが多いため、ちょっと物足りなさが残る。
椎名誠さんや小泉武夫さんなどの、体当たりで得られた「本物」の本を読んでしまうと、どうしても物足りなく感じてしまうのだ。
また、前半では著者の「寄食とは?」論が語られるのだが、同じような文章が何度も繰り返されたり、論が飛躍していたりと「??」な内容。
文章力の問題もあるのだろうが、食文化を語れるほどには、まだ著者の中に確固たる理論ができていない、ということだろう。
それに対して、後半の個別の寄食の紹介は、各項5、6ページくらいでさくっと読めるし、味に対する著者のコメントもなかなかユニーク。
ということで、あくまでテレビ番組の「体験リポート」くらいのイメージで読むべき本かと思います。
文章は面白い、但し付け焼刃の感があり
★★★☆☆
文才を感じる、面白い文章でした。この方の他の本も読んでみたくなりました。
一方で、題材となっている食材については、
インターネット上から面白そうなものを集めて継ぎ接ぎした感はぬぐえず。
作者は恐らくこの分野にそれほどお詳しい方ではないのでしょう。
食品の選び方も、どこかで見たことがあるものが多かったのが残念でした。