村の娘たちみんなが結婚したいと憧れている偉大な狩人は、姿の見えない人でした。
その姿を見ることのできた娘が妻になれるというので、娘たちは着飾って「見えない人」の家へ出かけていくのですが、誰も姿を見ることができません。
母を亡くし、頼りない父と意地悪な2人の姉(1人はいくぶんマシ)と暮らす「肌の焼け焦げた娘」は、ある日ふと思い立ち、父にもらって隠し持っていた古いぶかぶかのモカシン靴、サイズの合わない服や帽子を身につけ、「見えない人」の家へ向かいます。
みっともない格好、そんな醜い娘が「見えない人」と結婚できるものかと笑われるのも気に留めず。
彼女を迎えてくれたのは、「見えない人」と暮らして身の回りの世話をしている、優しくて賢い彼の妹でした。
「見えない人」を見るためには、容貌の美しさや華美な衣装は必要なくて、ただ、清らかな心が必要なのでした。
白い鳥たちが舞う姿、変身する娘、姿を現す「見えない人」など、絵が美しいです。
ちょっとぼんやりして曖昧で、でも不思議に輪郭がはっきりしている。
ぼかしは神々しさを感じさせる気がします。