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安倍晴明と聖徳太子

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カテゴリ: Kindle版
ブランド: 西孝二郎
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『安倍晴明と聖徳太子』

 【第一章 酒呑童子伝説で読み解く晴明桔梗印の秘密・1】

 五芒星は五行思想によって作られる。五行相生(「木生火」「火生土」「土生金」「金生水」「水生木」)の法則に従って、五行を木→火→土→金→水、の順に時計回りに並べ、それを五行相剋(「水剋火」「火剋金」「金剋木」「木剋土」「土剋水」)の法則に従って、水→火→金→木→土→水、の順に線を結ぶと五芒星が出来るのである。

 その五芒星(晴明桔梗印)をシンボルとする安倍晴明が重要な役割を果たすものに酒呑童子伝説がある……

 「一条帝の時代、都の若君・姫君の多く失踪することが続いた。晴明が占ってみると、それは大江山の酒呑童子の仕業であるということが判明した。そこで、源頼光と藤原保昌が征討の将軍として任命され、頼光は自らの四天王を、また保昌は大宰少監を引き連れて、揃って大江山に乗り込み、酒呑童子を退治したのであった。」

 ここで鬼を退治したのは頼光一行であるが、『大江山絵詞』には晴明が都を守っているので酒呑童子は危害を加えることが出来ない、という意味の文があり、この説話の根本的な構図は、晴明対酒呑童子である、ということが推測される。

 そうなると、頼光とその四天王という五者は、晴明の五芒星に相当するのではないかという考えが浮かぶ。四天王といえば東西南北の四方に相当するものであり、五行もまた、そのうちの木火金水は東西南北の四方に位置している。ということは、頼光が土ということになり、それによって、五行と対応し、五芒星を形作ることになるのではないだろうか。

 実際、五行の土は中央に置かれて、四方を統べるものであると言われる。『五行大義』には「土は中に居り、以て四季をつかさどり、四時を成す」とあるのだ。従って、やはり、頼光は土、彼の四天王は木火金水であって、この五者は五行、すなわち五芒星、すなわち晴明桔梗を意味するものとなっているのだろう。

 さて、五芒星の中心的存在と言える頼光……なぜこの頼光が酒呑童子という鬼を退治する者として選ばれたのかという点について高橋昌明氏は次のように述べている。

 「鬼退治の主役がなぜ頼光でなければならないか、という自問への自答として、頼光が雷公(らいこう)と音通である点を付け加えておきたい。(中略) 鬼神を征伐するには、雷公への連想をさそう名を持つ武将でなければならなかったのだろう」

 ところで、雷公といえば、他にもまさに雷公と呼ばれる有名な人物(?)がいる。『西遊記』の孫悟空である。彼は『西遊記』の中で盛んに雷公と呼ばれるのだから、源頼光と通じる存在であるということになるが、さらに、悟空もまた『西遊記』において、頼光と同様に四人の者を従えている。すなわち、玄奘三蔵・猪八戒・沙悟浄・龍馬である。
 『西遊記』におけるこの「雷公とそれに従う四者」という構図は、まさしく酒呑童子伝説における「頼光とその四天王」という構図に合致するものである。

 そして、酒呑童子退治には藤原保昌(ほうしょう)という人物も頼光一行に同行したのだが、『西遊記』にもやはり「ほうしょう」の影がちらついているのである。
 敦煌から出土した絵画および壁画の中には「虎を伴う行脚僧」をモチーフにしたものがいくつもあり、この僧は誰なのかということについて、最近では、これは玄奘であるという説が有力になっているのだが、興味深いのはこの「虎を伴う行脚僧図」には、決まってこの行脚僧を守護する者として宝勝如来(ほうしょうにょらい)が描かれているということである。。

 取経の旅をする玄奘(虎を伴う行脚僧)のそばには宝勝如来が守護神としてついている。ということは、玄奘を含む『西遊記』の五者のうちには必然的に宝勝如来もつき従っているということが言えるのではないだろうか。玄奘の参加とともに宝勝如来もまたこの『西遊記』の一行に加わって、秘かに彼ら一行を守護しているということが言えるのではないか。
 宝勝……言うまでもなく保昌と同音である。

 つまり、『西遊記』においては、雷公(悟空)と他の四者という計五者の他に、玄奘を護る者として宝勝(ホウショウ)という存在も加わっていると考えることができるのであり、これは酒呑童子伝説において、頼光とその四天王という五者の他に、藤原保昌(ホウショウ)という人物が加わっているということと完璧に一致するものだ。


 【第二章 酒呑童子伝説で読み解く晴明桔梗印の秘密・2】

 頼光が酒呑童子の首を斬った際、童子の首はそれでもなお襲いかかってきた。頼光はその時、渡辺綱と坂田金時の兜を重ねかぶって自分の身を守るのであるが、この場面における綱と金時は、次のようにして東と西に位置する人物と推定される。
 〔坂田金時〕……彼の名前の金はそのまま五行の金であり、金の方位は西である。    〔渡辺綱〕……彼の名である綱からは「三綱」という言葉が想起される。儒教で重んじる君臣・父子・夫婦の三つの道のことである。また、渡辺綱は三田の生まれであると言われており、綱はこの二点から「三」という数に繋がる。三は洛書において東方の数である。

 つまり、頼光が、綱と金時の兜を重ねかぶって自分の身を守った場面には、東西の結合という構図があることになる。

 ここで再び『西遊記』に目を向けてみよう。『西遊記』における雷公(孫悟空)は龍から奪った如意金箍棒を持ち、虎の皮の腰巻きを身に着けているが、この龍と虎は四神においてそれぞれ東と西に位置する動物である。『西遊記』の雷公もやはり東西を合わせ持っているのだ……ここから、同じライコウである頼光が綱と金時の兜を重ねかぶったのは、やはり東西の結合という意味があるのだと確信できるのである。頼光が重ねかぶった綱と金時の兜は、悟空における龍(東)と虎(西)に相当するものなのだ。


 【第三章 聖徳太子の秘密】

 聖徳太子は崇仏派として、蘇我馬子らとともに、排仏派の物部守屋らを討つ戦いに参加した。その際、形勢が不利となったため、白膠木(ぬりで)という木で四天王像を作り祈願をこめた上で、それを自らの束髪に乗せて戦うことによって勝利を得たのであった。
 四天王像の材料としたこの「白膠木」……白は五行西方の色、木は五行東方、そして膠はにかわのことであり、これは接着剤として用いるものであるから、「白膠木」は、膠で西(白)と東(木)を結合させた形、と解釈することが可能なものである。

 四天王、そして東西の結合……これは酒呑童子退治に見出せる構図と全く同じものである。
 そして、酒呑童子退治にはさらに保昌(ホウショウ)という人物も加わっていたが、聖徳太子はまさにこの保昌に相当する人物であることが分かるのだ。

 『日本書紀』の用明紀には聖徳太子について……厩戸皇子、またの名は豊耳聡聖徳、あるいは豊聡耳法大王、あるいは法主王……と、いくつもの名が記されている。
 このうち、法主王という名に注目してみよう。音読するとホウシュオウであり、ホウショウという音に限りなく近い。つまり、聖徳太子はホウショウなのであり、まさに藤原保昌に相当する人物であると考えられるのだ。

 「ホウショウ・四天王・東西の結合」……酒呑童子と全く同じ要素が聖徳太子のうちに見出せる。ではライコウは誰なのか? 
 しかし、その解釈はちょっとややこしいので、ここでは省略しよう。

 それでは、酒呑童子退治の一行の背後には晴明が控えていると言えるのであったが、それはどうだろう。排仏派討伐のうちにも晴明に相当する人物がいるのだろうか。
 言うまでもないことだが、守屋ら排仏派を討伐する聖徳太子らは仏教を崇拝するいわゆる崇仏派であるが、その仏教を日本に伝えたのは百済の聖明王である。崇仏派の根源はまさにここにあると言えるのだが、この聖明はまさしく晴明と同音である。

 酒呑童子退治の背後に控えているのは晴明。
 排仏派討伐の背後に控えているのは聖明。

 「セイメイ・ホウショウ・四天王・東西の結合」……もはや、酒呑童子退治と排仏派討伐の構図はことごとく一致した。晴明は百済聖明王に重ね合わされた存在と言えるようだ。


以下、
【第四章・意外な重要人物・豊璋】
【第五章・六芒星】
【第六章・雷風恒】
と続きます。