ラテンアメリカで知りたい事はいろいろあるが、突き詰めると、南欧諸国、イギリス、アメリカとの関係に集約されるのではなかろうか。イギリスに関わる記述はやや薄いが、本書は全体として、ほぼこうした需要を充たしている。
また社会、経済の構造についても、ラテン全体の特徴をよく描けている。クリオーリョについての叙述も簡にして要を得ている。
著者の力量がうかがえる好著である。