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カデナ

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:池沢夏樹/著 出版社名:新潮社 発行年月:2009年10月 関連キーワード:カデナ かでな、 シンチヨウシヤ シンチヨウシヤ 3162 しんちようしや しんちようしや 3162、 シンチヨウシヤ シンチヨウシヤ 3162 しんちようしや しんちようしや 3162 1968年夏。沖縄、アメリカ、ハノイ。フィリピンに生まれ、カデナの米軍に勤務する女性曹長フリーダ。サイパンで両親と兄を喪い、沖縄で一人戦後を生き抜いてきた朝栄。朝栄夫妻にかわいがられ、地元のロックバンドで活躍する青年タカ。朝栄のサイパン時代の旧友で、那覇で再会するベトナム人安南さん。-4人は、カデナ基地からの北爆情報を刻々とベトナムに伝える「スパイ」となる。だがそれはフリーダにとって、B‐52機長である恋人の大尉、パトリックを裏切る行為でもあった…。
やまとんちゅーが主要人物ではないニッポンを書いた小説 ★★★★☆
『カデナ』は、やまとんちゅー(大和人)が主要人物ではないニッポンを書いた小説である。

主人公は4人。
フィリピン生まれのアメリカ人フリーダ。
大戦で家族を失ったウチナンチュー(琉球人)朝栄。
ベースでロッカーとなったやはりウチナンチューの青年タカ。
米軍の爆撃の標的ベトナム人安南。

4人は,北爆の情報を伝えるスパイとなって,巨大な「嘉手納基地」
に戦いを挑む。

著者の沖縄在住10年の成果であろう。美しい「ウチナーグチ(琉球語)」
が心地よい。
ひさびさに登場人物を好きになった ★★★★☆
主人公の一人、フリーダが好きになった。文章はよどみなく清快で、フリーダのほか二人いる語り手の性格をそのまま現しているよう。

沖縄本土復帰の際、子供の質問が新聞にのるというエピソードがあった(フィクションかどうかはわからない)。その質問がすごく無邪気で、なんだかすごく涙が出た。

ノンフィクションのような小説 ★★★☆☆
今の沖縄の基地問題ではなく、ベトナム戦争時の様子。
この人はルポのようなエッセイ集が多いため、ノンフィクションかと間違いそうだが、
これは完全に小説。とは言っても本当に臨場感あふれる描写がしてある。

沖縄のカデナ基地から、ベトナムに爆弾を落としに行くB-52という
ものすごくでかい飛行機の司令官と、アメリカ人の軍人のエリートを父に持ち、
母親はフィリピン人で空軍に入り込んでいる、魅力的な女性。

もともとサイパンで日本軍やアメリカ軍に翻弄されすべてを失って、また沖縄に戻り、
今は米軍相手に模型などを販売している沖縄人。

その人とサイパンの収容所で一緒だったベトナム人。

沖縄の若者でバンドを組んでいるドラムの若い男の子。

主要な登場人物はこんな感じだが、反戦平和のためのレジスタンス?活動を
いろんな方法でやっている。

空軍に入り込んでいる女性は、司令官の彼女でありながら、
米軍の爆撃計画をベトナム人に流し、爆撃の効果を限りなく0に近づけたり、
米軍の基地に「戦争を止めよう。逃げたいならここに電話しろ」とかいうチラシやスタンプを配って、脱走兵の手助けをするグループ。

この本を読むと、本当にそんな事が行われていたかのような感じさえしてくる。

司令官は、罪悪感を持って業務に当たっているため、EDになり、やろうと思っても出来ない。
しかしある日、もう爆弾を落とさなくてもいいという身分になったら、張り切る張り切る(笑)

しかしその司令官も、最後の作戦中にエンジントラブルで爆破炎上し名誉の戦死。

この本を読むと、やるほうもやられるほうも本当に悲惨という事がわかり、なおかつ優位に事を進めているように見えても、心の奥底には良心の呵責・恐怖などがあり、全然達成感も喜びもなく、心に病を引き起こしてしまう人がほとんど。

祖国を守るためとかではなく、祖国の企業やある一定の人種を守るために遠くまで戦いに出されている下層の人たち…という構図はこれからも変わらないのかもしれないが、とにかく何とか戦争だけはしてほしくない…と思える本だ。

小説でここまで訴えかけて読者にそう思わせてしまう、池澤さんの筆力はさすがというしかないだろう。
あの人はなぜこんなの書くのが上手なのか?
戦争と人間の関係を清々しく軽やかに描く、池澤作品の最高傑作のひとつ ★★★★★
 舞台は本土復帰前1968年の沖縄。主人公は、機械部品店を営む地元出身の朝栄、ベトナム人であることを隠している安南、ロックバンドの若きドラマー、タカ、そして、カデナ基地に務めるアメリカ空軍女性下士官フリーダ・ジェインの四人。秘書官のジェインが持ちだしてきた軍事機密――ベトナムでの次の攻撃目標はどこかという情報を、リレーしてベトナムへ打電する、四人の素人スパイの物語だ。
 しかし、四人の誰も声高に「戦争反対」を唱える者はいない。「みんな自分の気持ちからやっている」のだ。但し四人とも、戦争は攻撃される側も攻撃する側も不幸にする絶対悪で、その累は遠い未来へも及ぶ、ということを痛いほど理解している。つまり、池澤氏の発想には、大多数のアメリカ人のごとく(オバマ氏の、ノーベル賞受賞スピーチでも明らかだった!)、戦争には「よい戦争」とそうでない戦争がある、という考えなど一切ないのだ。
 物語は、「あのバカみたいに大きなB52」が離陸直後に基地内に墜落する、という実際の事件でクライマックスを迎えるが、その爆撃機のパイロットこそジェインの恋人パトリックだった。そして、パトリックがずっと性的不能だった理由は、ヒロシマ・ナガサキに深く関係していたことが明らかにされる…… 。
 この話には、アメリカの戦争物のような派手なアクションは出てこないうえ、ベトナム戦争ばかりか沖縄の基地問題、第二次世界大戦の爪痕、核兵器、そして国家と個人、つまり愛国心と裏切りという重いテーマまでが問われているのに、不思議に心にすっと入ってきて、とても読みやすい。それは、絶妙のタイミングで挿入されるなよやかな沖縄言葉が、心地よいリズム感を生み出しているせいでもあろうし、繰り返し説かれていることの高潔さが、読む者の胸を打つからでもあると思う。組織あるいは国家にのみこまれず、個人でいつづけることの大切さと困難さ、がそれだ。
 この作品は、戦争という人類の生み出した「子ども」を、文字によって語り継いでいこうという作家としての気概、あるいは覚悟のようなものが伝わってくる、池澤作品の最高傑作の一つではないだろうか。
理屈抜きで面白い傑作 ★★★★★
登場人物のうち、沖縄人の地の語り口は細部に至るまで徹底した沖縄口。さすが、わざわざ居を沖縄に移した筆者ならではの力業。それはマニアックな観点からも面白いが、それより何より本作は小説として非常に面白い。迷わず一読、あるのみ。