社会住宅について全面的に解説
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本書はオランダで全住宅戸数で36%,賃貸住宅戸数では75%を占める社会住
宅について,その歴史と特徴,制度などをまとめた本です。
オランダでは1901年制定の住宅法によって,民間・非営利の住宅協会に
国から相当な財政的援助が与えられており,この住宅協会が主体になって,主
に労働者階級向けの住宅を供給してきました。住宅協会の活動は時代とともに
,住宅不足の解消から,住居の質向上,近隣住区の再生など変化し,住宅協会
自身も政府からの援助から独立し,集中・巨大化へと変化しています。
本書にはそのほかにも,政府と住宅協会の関わり方,住宅協会の法的位置づ
け,家賃や入居資格,協会の運営など,住宅協会や社会住宅について全面的に
解説しています。この一冊でオランダの社会住宅・住宅協会について,その様
子がありありと分かります。高家賃や住宅ローンに悩まされる日本にとって,
示唆に富む一冊だといえます。