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愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫)

価格: ¥1,000
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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   私立探偵パトリック&アンジーシリーズ第4弾。テーマは次々と起こり未解決なままに終わる子どもの行方不明事件。連れ去られた子どもたちは性的虐待を受けるか、快楽殺人のえじきとなり、連れ戻すことに成功したとしてもトラウマという生涯の傷を負う。けれど連れ去られる前の子どもたちの毎日がすでに地獄のようだったとしたら?

   寝室から突然消えたアマンダ・マックリーディの捜索を依頼してきたアマンダの叔母ビアトリスが明かすアマンダの暮らしは、とても幸せとはいえなかった。母親のヘリーンは麻薬とアルコール中毒で定職もない。娘の失踪にも本気で心配するどころか、テレビの取材に娘の無事を訴える自らの演技に夢中になっている始末。

   満ち足りた幼年期を送ったとはいえないパトリックは、この事件で傷つくのが怖い。しかし、これまで補佐役に徹していたアンジーがこの事件に異様な執着をみせることで2人の気分がすれ違ったまま依頼を受けることになる。

   警察との良好な協力関係によって捜査は進み、アマンダ奪回のための映画ばりのハデなアクションシーンまで物語は一気にのぼりつめる。しかし中盤で、まるでエンストをおこした車のように物語は停滞する。これは単純な幼児誘拐事件ではないらしい。麻薬取引と取引の途中で盗まれた20万ドル、組織の仲間割れなどが絡んで事件の真相がいっこうに見えてこない。見えたと思ったら裏があり、その裏にはさらに裏がある。

   複雑な展開が最後まで飽きさせない。これほどの長編を引っ張っておきながら、なんとも後味の悪いエンディングを用意するところなどは、レヘインの真骨頂といったところか。この答えでほんとうによかったのか。パトリックと共に迷い悩みながら、読者はひたすらに続編を待ち望むことになるだろう。(木村朗子)

クリントン元米大統領も愛読した、シリーズ最長・最大の問題作 ★★★★☆
“ボストンの鬼才”デニス・レヘインによる、<探偵パトリック&アンジー>シリーズの第4弾。クリントン元米大統領が在任中、夏の休暇に別荘に持ってゆく一冊に選んだという作品。’01年、「このミステリーがすごい!」海外編で第14位にランクインしている。

麻薬とアルコール中毒で定職もない母親が目を離した隙に、私生児の4才の少女アマンダが消えた。事件が起きてから3日が過ぎても、彼女の行方はいっこうに知れなかった。パトリックとアンジーに事件を持ち込んだのは、アマンダの伯父夫婦だった。夫妻の執拗な依頼に、きわめて見込みの薄いこの事件をやむなく引き受ける。
やがて少ない手がかりから、ふたりは、アマンダの母親が麻薬の売人の手伝いをして、その売上金の20万ドルを着服し、アマンダは金を盗られた売人に誘拐されたのではないかとギャングがらみの怪しげな人間関係を突き止める。しかし、警察を巻き込んでの大掛かりな捕り物も大物ギャングは殺されるは、20万ドルは無くすはと失敗に終わり、捜査は振り出しに戻ってしまう。

月日は流れ、それから約半年後、警察の腐敗と結びついたボストンの深い闇が姿を現わし、再び事件が動き出す。そして意表をつく真相が・・・。

レヘインのストーリー・テリングは、決して短くないこの作品を一分の隙もなく、ぐいぐいと惹きつけて離さず最後の最後まで“読ませる”。そして運命はまたしても主役ふたりに過酷な試練を与える。本書はシリーズ最長ながら圧倒的なリーダビリティーを持った最大の問題作である。
善悪の判断は誰が下すのか。誰にその権利があるのか。。。 ★★★★★
ベン・アフレックの初監督作品として評判になっている映画の原作。日本ではまだ公開されてないので、先に原作を読んでみようと思い立ち、手にしました。

テーマが重い。重厚な作品です。
パトリック&アンジーの探偵が事件に迫る人気シリーズの第4弾ということで、シリーズを読んでいればもっと面白いのかもしれないけど、前作を読んでいなくてもちゃんとついていける設定になってます。

今回は、幼児失踪事件に挑むパトリック&アンジーの私立探偵。アマンダという4歳の女の子が、突然姿を消したところから話は始まるのですが。。。事件は本当に以外な方向へと進んでいきます。。。

単なる探偵もではなく、人間の本質、善悪の区別、家族の意味等等、社会の暗闇にドンドンと迫っていきます。何が正しくて、何が間違っているのか、それは誰が判断するものなのか。。。きっと誰にも答えはわからないのだろうけれど。。。

著者は、ミスティック・リバーの著者でもあり、社会派ミステリーのカテゴリーになるんでしょうね。軽く読める本ではないですが、考えながら社会を見つめなおしてみたい方?にはおすすめです。

原作を読んだら普通は映画は観なくていいや。。。となるのですが、今回は映画の評判もかなり良いみたいだし、ボストン郊外で育ったベンアフレックがこの良書をどんな風な映画に仕上げたのかすごく興味があるので、映画も楽しみ。
病めるアメリカの未来は? ★★★☆☆
 子どもたちが犠牲になる社会に対する、パトリックとアンジーの絶望的な怒りが痛々しい、シリーズ第四弾です。
 例によって、アリー・マクビールに出てくるような学術的・文化的な街ではない、ボストン南部のダウンタウンの空気と人々を背景に、
二人は誘拐された少女の捜索に着手しますが、その事件がもたらした傷や代償はあまりに大きいものでした…。

 相変わらず、読み始めると止まらないLehaneワールドですが、思いが深すぎるが故に、少々煮詰まった感があるのは、
二人の関係と同様でしょうか。

 もちろんこの1冊でも楽しめますが、
このシリーズは、二人の関係や過去、二人をとりまく人々のストーリーが大きな役割を果たしているので、
やはり私は、1作目 A Dring Before The War から読んだ方が、より楽しめると思います。
 シリーズを読んでいる人も、特にDarkness,Take My Hand は、誰に何が起きたかを思い出しておく程度に読み返しておくといいと思います。
社会の理不尽を心に残す ★★★★★
世界の裕福と言われる国々、この日本でも親子の関係を疑う・覆すニュースを題材にし、パトリックとアンジーの気持ちを交えて進んでいく。子供と親の関係を考え、こんな関係が存在すると再認識をしてしまった。小説の中ではなく現実にもあること。社会が取り上げる子供誘拐、悲劇の主人公である母親に最高に腹立たしく感じ、誘拐した犯人が子供の将来、環境、未来を考えている。しかし、法律において誘拐は犯罪である。そっとしておくことはできない。現実と希望の世界の間。パトリック&アンジーの気持ち二人ともに同意してしまう。読者である私。現在行方不明の国内の子供達も本作の犯人達である大人のもとにいるならと願う私。大半はパットリックの言葉でいう「くそったれ」の大人達の仕業であろうと思う私。パトリックとアンジーの言葉の掛け合いはホント見事なもの。最後にパトリックと一緒に「話し合おうよアンジー」と言ってしまう私。いい作品に出会えて感謝します。
ストーリー展開の素晴らしさはレヘインの作品でナンバー1でしょ ★★★★★
事件は、少女誘拐。決して恵まれているとは
言えない家庭から連れ去られた少女を街を挙げての捜索が開始される。
パトリック&アンジーはいやいやながらもこの事件を引き受けることになる、という
物語の最初はごくごく普通の展開だが、その後のストーリー展開は
読者を心地よく裏切ってくれます。

私はかねてからレヘインのパトリック&アンジーシリーズ(本作は
第四弾)は、第1作から順番に読むべきだとお勧めして来ましたが、
本作を読んで初めて、その必要もそれほどではないなと思いました。
レヘインはちゃんと途中から読んだ最近の読者も
置いてけぼりを食わせないように配慮してくれています。

この探偵小説の良さは、本当はスーパーヒーローなんても
どこにもいない現実社会の中で、ほんの一瞬脚光を浴びてしまうときの

人間の弱い心を誰もが持っていることがよくわかることでしょう。

「ミスティックリバー」でレヘインを知った方にも、本当のレヘインの
良さはパトリック&アンジーシリーズだということを知って欲しいです。