学ぶということは必ずしも学校で授業を受けるということではない。
そんな単純なことに改めて気付かされた１冊。
学ぶ意欲さえあれば年齢だって関係ない。４０歳を過ぎてピアノを始
めたり子供の頃苦手だった算数を勉強し始めるなんて考えただけで
わくわくするし、第一かっこいいではないか。興味をもったことを探
究したりわからないことについてとことん研究するってことは決し
て若い人達や学生だけに求められることではないだろう。偶然、書店
でこの本に出会ったのだが素晴らしいと思う。いつも机の上などに置
いて読み返してみたい。

独学に必要なのは、自ら学ぶ意欲。
切り拓き、壁にぶつかろうというチャレンジ精神がなければ
なかなかできません。
なにか、新しいことや、奇をてらったことが書かれているわけではありません。
ただ、当たり前のことが書かれています。でも、35年も前に書かれているのに、
その言葉は輝き続けています。
復刻された意味が良くわかりました。
小生の心に力を与えてくれた気がしました。

高校生の時、文春文庫版で読みました。最初のjane goodallのエピソードで全ての人が独学に目覚めるでしょう。独学とは学校の中や試験勉強のものではなく、人生の問題なのです。婦人雑誌向けに書かれたものなので、理論や歴史ではなく、毎日の生活などの現実感覚で叙述していくのでとてもスッキリ理解できます。本書と思考の整理学 (ちくま文庫)は、あ〜しろこ〜しろとやる気満々が前提の勉強本ではなく、誰でも今からすぐにできる地に足のついた発想の転換をもたらす良書として推薦できます。

　著者の加藤秀俊先生の書籍はどれをとっても読みやすいのは、難解な専門用語を使わずに平易な言葉で訴えることができる本物の学者の証し。「母親たちが、ごじぶんの『教育』はもう終わったのだ、とかんがえているとしたら、それは大きなあやまりである。」という指摘は、教壇に立つ私にとっても身が引き締まる思いがします。

　これほどの名著を絶版のままにしておくのはあまりにももったいないことです。文藝春秋さんに、是非とも復刊していただき、出版社として名著を発行し続ける姿勢を見せていただきたいと期待しています。