大震災に学ぶ社会科学 第8巻 震災から見える情報メディアとネットワーク ダイシンサイニマナブシャカイカガク008
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本書の目的は、2011年3月11日の東日本大震災を生き抜いた人々が、震災後の新しい世界に適応していくために、どのように情報メディアや周囲の人々から情報を得てきたかを、実証データに基づいて多角的な視点から描こうと試みるものである。新しい世界への適応とは、災害によって生じた状況を受けとめ、心理的に反応し、社会的に行動することで事態に対処していくことを指す。本書では適応がどこまで情報メディアの利用行動と利用可能性の産物であったかを明らかにする。
全体の構造は、第1に東日本大震災時の情報環境であったマスメディアとインターネットがもたらした情報の様相を検討する、第2に情報行動調査の分析として、被災地・非被災地市民のコミュニケーション・心理・行動を被災後1年半の時点までにおいて精査する、第3に情報メディアの多重化と情報行動の適応性とを考察し、情報疎外についての知見を深める、最後に防災・減災のためのメディア接触のあり方を検討する、の4点から成り立っている。
【主な内容】
第1章 震災時・震災後の情報メディア環境が受け手に与える心理的・社会的インパクト
第2章 災害研究における情報メディアの役割を考える
第3章 テキストデータを用いた震災後の情報環境の分析
第4章 震災期の新聞・TV、Yahoo! トピックス、ブログ記事と投稿の特徴
第5章 災害時における情報メディアの効果的活用のために
第6章 被災三県情報行動パネル調査2011-2012
第7章 首都圏情報行動パネル調査2011-2012
第8章 必要な情報が届くために
第9章 震災復興過程におけるメディア論からの教訓