NY、行ってみたい
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私、NYはおろかアメリカ大陸に行ったことが無いですが、この本を読んでいるとマンハッタンに行ってみたくなります。地図を開き、その道をイメージして読みました。ポートハミルの生きてきた街なんだと思うと、やはり今度行ってみたい、アメリカ。
息づく都市のシンフォニー
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親日派として著名であり、自分にとってもお気に入りの作家による、新大陸発見の時代から9・11に至る、壮大にして微に入り細を穿つが如く綴られたニューヨーク物語。お手軽な邦題や和田誠氏が手掛けるポップな装丁から想像すると足元をすくわれてしまう程の大変な力著である。元新聞記者らしい知識の引き出しの多さと冷静なジャーナリズム精神、作家としての詩操の豊かさ。自らの貴重な体験の数々。奔放な肉親に対する愛憎を見るような「我が街」ニューヨークに対する思い。それらの力強くも豊穣なる見事な融合。「ノスタルジー」という通奏低音がある一方、「活気」や「先進」というリズムが強弱はあれど常にキープされ、数えきれない程のメロディやハーモニー、時にはジャズのアドリブのような不協和音やノイズ、それらが過去現在のニューヨークを行き交う人士達によって鳴らされ、時代毎によって楽章を重ねていく。そんな壮麗な交響曲を聴くようである。個人的に読み所は、やはりハミル氏のリアルタイムで感じ取った経験とその視点になるだろう。特に「ゴッサムシティ」の如き犯罪都市からの再生を果たし、蘇った街角の風景に目を細め涙ぐむ彼の「この時まで生きて良かった」という感慨に胸を打たれる思いだ。もっともその数年後に「悲劇」が見舞う事になるのだが…しかしそれはまた違う物語である。
真正のニューヨーカーにしか書けない視点
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ハミルさんのジャーナリストとしての矜持に支えられて書かれた本書は、9・11を超越しつつある力強い変化を描き出しながら、時代を超えたマンハッタンの特性を描き出す。それは主として19世紀と20世紀からの逸話で挿入される。だが、その引用も我田引水のためではなく、自らの見方をバランスさせるためであり、ジャーナリスト精神に満ちている。
最近所要でマンハッタンには年に数日滞在したり、通過しているが、時間さえあればゆっくり歩きたい街である。さしてきれいな街でもない、だけど歩いているととても素敵な気分にしてくれる。マディソン・アヴェニューのJackson Holeでまたあの美味しい朝飯を食べたい、とか。美術館のはしごをしたいとか・・・NY映画祭で映画を観たいとか・・・とにかく琥惑的な街マンハッタンの魅力を淡々と書き記した本書は、ブルジョアの目線ではなく、マンハッタンで一生懸命仕事をしている普通の人々の目線で書かれた傑作である。
ああニューヨーク
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もうNYに行ったのは10年も前になる。中学生の頃、ビリージョエルが大流行して
歌の歌詞に出てくる地名を地図で調べたり、レコード(CDが出る少し前ぐらいの時期でした)
の中に入っているライナーノーツの写真などを見て、とにかく憧れていました。
初めていったときは、ラガーディア空港に着く関空からの乗り継ぎ便を使わずに
わざわざ成田からのJFK直行便で7泊8日、ホテルも思い切ってウォルド−フ・アストリアホテル
に滞在した。
観光らしい観光もせずただひたすら歩き回った。新婚旅行兼だったがお金も
あまりもってなかったので、デリで総菜を計り売りで買ってきて部屋で食べたりしていた。
マンハッタンはびっくりするぐらい小さくて主要なところは徒歩圏内で行動できるように
なった。知れば知るほど、NYの何とも言えない独特の魅力にはまってしまった。
ただひたすら朝から晩まで歩き回った1週間だった。
あれから10年、思わず買った本書だが流石、ピート・ハミル。
毎日、NYに行きたくて仕方ないようになってしまった。
本書には魅力溢れるNYが満ちあふれている。
少々お高い本書ですがNY好きの方には間違いなくお奨めです。
ただ、読後に猛烈にNYに行きたくなるのでご注意を(笑)。