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平和の地政学―アメリカ世界戦略の原点

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 芙蓉書房出版
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自由と繁栄の弧の原点であり、一部捏造された注意すべき一冊 ★★★★☆
スパイクマン(発音はスピークマンに近いらしい)は戦後アメリカの対ソ連封じ込め政策、その後の世界戦略に大きな影響を与えた地政学者として知られる。その思想は、マッキンダーのランドパワー対シーパワーの図式を発展させ、両者に挟まれたリムランドを押さえることの重要性を説いたものである。

麻生太郎元外相が目指したのは、この不安定なリムランドを安定化し、自由と繁栄の孤とする戦略だった。ウラジオから朝鮮半島、支那沿岸部、台湾、インドシナ半島、ミャンマー、インド、パキスタン、イラン、イラク、サウジアラビア、イスラエル、ヨルダン、トルコ、グルジア、ルーマニア、ポーランドを経てバルト海を抜け、フィンランドまで至る世界島(ロシア及び支那)を取り囲む地域が自由主義陣営に留まり、経済的繁栄をすることの影響は計り知れない。

本書は生前にスパイクマン教授が書いた図面51枚が収録されており、基本的にはこの図面から様々な国家サバイバルの戦略を生み出す必要がある。
何故なら、本文はスパイクマンの死後に秘書だったヘレン・ニコールが執筆したものである。彼女にはソ連のスパイだったという説(地政学の論理―拡大するハートランドと日本の戦略)があるからだ。本文を読んでいて、結論部でアメリカはリムランド防衛のために英国とロシア(ソ連)と同盟を結ぶべきだと突飛な結論に至る過程は論理的に破綻しており、またスパイクマン本人の地図とも不整合を生じている。本書に収録されている図面と異なる本文は無視するしかない。
スパイクマンの地政学 ★★★★★
本書は地政学者として知られるスパイクマンの生前(第二次世界大戦中)の論考を1冊にまとめたものです。
スパイクマンの残した資料をもとに編纂されているためか要領よくまとまっています。
大戦中の考えということもあり今から見ると間違った記述もありますが、ユーラシア大陸にある大国がアメリカの脅威になるという
後のソ連”封じ込め”を予感させる洞察など鋭い戦術論が展開されており大変刺激的な一冊です。
第二次世界大戦中の「アメリカの危機感」 ★★★★★
本書はスパイクマンの死後に残された講義用のノート
やスライド、他の知識人たちとの手紙のやりとりの内容など
を元にしてつくられた。
どういう地図が地政学を語るに適しているか、という話が
書かれている点からもいかに本書が実際的かがわかるだろう。
図版(地図が51も掲載されている!)も豊富で飽きない。

人口密度の分布と降水量の地図を比較した考察が出てくるが、
水資源が死活的に重要になっている現在、この視点は重要であろう。

温暖化進行による北極圏の重要性の増大が、最近で
は指摘されている。これも本書をふまえて考えると大変面白い。

また、この時代の地図を見ることによって、中共が主張する版図が
いかに欺瞞に満ちたものかがよくわかる。
満州・チベット・南モンゴル・西域は既に彼等の手中に落ちた。
極東地域で、今まさに危機は醸成され、エスカレートしつつある。
台湾、オーストラリアに対中宥和政権ができたことの重要性を
日本人はよく考えるべきだろう(もっとも我が日本の政治家の頭の中身の方が
先か)。
人口を流入させ、それを武器とし、間接侵略の尖兵にするというパターンは、
ナチスドイツの生存圏構想と併せて一考に価するであろう。
李鵬発言が冗談に聞こえる人は幸福である。
現在の日本を支えるパワーがいかにアメリカに依存しているか、
日本の政治や外交の機能停止ぶりを思うと慄然とする。

「軍事力は、国家の生き残り(サバイバル)と、
より良い世界の創造のためには完全に不可欠な道具である。」

「軍事力に基盤を持たない政治的理想とヴィジョンというものが
生き残る価値は、ほとんどないように見える。確実に言えるのは、我々
の西洋の民主主義は、自分たちの力、もしくは同盟国などの助けによって、
パワーが効率よく使われてきたおかげで今まで維持・存続されてきた、
ということだ。」(いずれも第1章P32より)

このくだりには完全に同意する。

戦略学の必読文献 ★★★★★
昔から優れた戦略的思考をする軍人や戦略家は地政学的思考をしてきたものだ。ナポレオン、モルトケにしても然りである。しかしそれが地政学というはっきりとした名前の学問として登場してきたのはそう古いことではない。20世紀になってからといってよい。軍事学、戦略学に造詣深い人たちには身近な、「ハートランド」あるいは「リムランド」といった魅惑的なタームが使われるようになったのも20世紀からである。
本書はそういった地理的概念から国家の意志や行動がもたらされるということを主張したニコラス・スパイクマンによる古典的な地政学の概説本であり、「ハートランド」、「リムランド」という概念がどのようにして登場してきたかも理解できる戦略学に必読の入門書だ。
スパイクマンはオランダ系アメリカ人で、この本が書かれたのは第二次大戦中であり、彼は当然アメリカ側の立場から地政学を論じ、アメリカの戦略を論じている。彼にとってはアメリカ伝統の孤立主義は論外であり、国際的関わりの中でしか、アメリカの安全保障は保てないと考える。そしてそれは世界地図の歴然たる在り様からそういえるのであり、「ユーラシア大陸にある国家がヨーロッパとアジアで圧倒的かつ支配的な立場を獲得するのを不可能にするような対外政策が継続されるべきだ」と主張する。
当然これはドイツと日本を指しているわけだが、この二国を敗北に追い込んだ後は、後に登場するソ連や中国がその対象となる。今度は日本やドイツは同盟国になるわけだ。訳者の奥山氏は“冷酷な分析と手段”と形容するが、それが国際政治の本来の姿であり、イデオロギーとは無関係に発動する地政学的“原理”である。そういった過酷さを学ぶためにも日本人が読んでおくべき書物であることは確かである。