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高い砦 (ハヤカワ文庫NV)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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自然との対峙に比重を置いた方が良かった ★★★☆☆
南米の架空の国コルディヤラの政争を背景に、アンデス山脈に不時着した飛行機の乗客達が直面する、雪中行軍と共産主義武装団との戦闘を描いた作品。冒険小説の代表作と言われている。

作中で一番印象に残ったのは、仲間を助けるために雪のアンデス峠越えを図ったローデとフォレスターの、まさに死線を行く行軍。実話に基づいた「アンデスの奇蹟」でも有名な状況だが、厳しい自然との対峙の描写には無条件の迫力がある。この部分の記述を増やすべきではなかったか。一方、共産主義武装団を防ぐために残った守備隊の奮闘の部分は、類型的ではあるが人物配置も考慮され、面白いアイデアも凝らしてあって、それなりに読めるが緊迫感に欠け、安手の西部劇を見ているような印象を受けた。また、朝鮮戦争で捕虜となったトラウマを持ち自暴自棄となっていた主人公オハラの再生の物語ともなっており、物語に厚みを加えているとも言えるが、読み手の興味を発散させているとも言え功罪相半ば。特に、ロマンスを添える必要があったのだろうか。また、時代背景もあるだろうが、共産主義者を悪の権化の様に描くのも頂けない。乗客の中で生き残るのも、所謂典型的アメリカ人タイプの者だけなのである。イデオロギーとドラマツルギーが前面に出過ぎている様に思えた。

「砦」という題名は、アンデス山脈と立ちはだかる共産主義武装団のダブル・ミーニングだと思うが、自然との対峙に比重を置いた方がストレートな冒険小説として楽しめたと思う。
究極の山岳サバイバル冒険小説 ★★★★☆
早川書房の『ミステリ・マガジン』のアンケートをもとに’92年に刊行された『冒険・スパイ小説ハンドブック』において、「冒険小説ジャンル」で堂々第4位に輝いた作品。(ちなみに第1位はジャック・ヒギンス『鷲は舞い降りた』、第2位はギャビン・ライアル『深夜プラス1』、第3位はルシアン・ネイハム『シャドー81』)

機材トラブルで緊急着陸した大手の航空会社の旅客機の乗客を代換便として乗せた南米の弱小アンデス空輸の老朽小型機が、副操縦士によってハイジャックされた。機はアンデス山中の高所に無謀な不時着を強いられる。犯人と乗客のひとりは死亡。重傷のもうひとりもまもなく死ぬ。生き残った操縦士のオハラたち9名は救助を求めて下山する。しかし、この中には軍事クーデターで失脚・亡命中で、復権を志す南米某国の、年老いて病気の元大統領がいた。彼を狙う共産主義者たちがオハラたちの行く手を阻み攻撃を仕掛けてきた。
ここに、闘いにはまったくしろうとの乗客たちが、それぞれの分野の特技を生かして、徒手空拳で、廃坑となった鉱山小屋から、そこにあるものだけから手製のユニークな前時代的な武器で、完全武装した敵と闘うのだ。

読みどころのひとつは、富士山より高い5000メートル級の高地という苛酷な自然環境でのこの攻防であり、もうひとつは、敵のいない嶺の反対側に救援を求めに、これまた貧弱な装備で、雪嵐の中5800メートルの厳寒の峠を越えようとする3人の男たちの苦闘のシーンである。前に敵、後ろに険峻な峰峯、絶体絶命のピンチが続く。果たして彼らは無事に救助されるのか・・・。

本書は、壮大苛烈で克明な自然描写と乗客たちそれぞれの行動・心理描写が読者を圧倒する、究極のサバイバル冒険小説である。
究極の山岳サバイバル冒険小説 ★★★★☆
早川書房の『ミステリ・マガジン』のアンケートをもとに’92年に刊行された『冒険・スパイ小説ハンドブック』において、「冒険小説ジャンル」で堂々第4位に輝いた作品。(ちなみに第1位はジャック・ヒギンス『鷲は舞い降りた』、第2位はギャビン・ライアル『深夜プラス1』、第3位はルシアン・ネイハム『シャドー81』)

機材トラブルで緊急着陸した大手の航空会社の旅客機の乗客を代換便として乗せた南米の弱小アンデス空輸の老朽小型機が、副操縦士によってハイジャックされた。機はアンデス山中の高所に無謀な不時着を強いられる。犯人と乗客のひとりは死亡。重傷のもうひとりもまもなく死ぬ。生き残った操縦士のオハラたち9名は救助を求めて下山する。しかし、この中には軍事クーデターで失脚・亡命中で、復権を志す南米某国の、年老いて病気の元大統領がいた。彼を狙う共産主義者たちがオハラたちの行く手を阻み攻撃を仕掛けてきた。
ここに、闘いにはまったくしろうとの乗客たちが、それぞれの分野の特技を生かして、徒手空拳で、廃坑となった鉱山小屋から、そこにあるものだけから手製のユニークな前時代的な武器で、完全武装した敵と闘うのだ。

読みどころのひとつは、富士山より高い5000メートル級の高地という苛酷な自然環境でのこの攻防であり、もうひとつは、敵のいない嶺の反対側に救援を求めに、これまた貧弱な装備で、雪嵐の中5800メートルの厳寒の峠を越えようとする3人の男たちの苦闘のシーンである。前に敵、後ろに険峻な峰峯、絶体絶命のピンチが続く。果たして彼らは無事に救助されるのか・・・。

本書は、壮大苛烈で克明な自然描写と乗客たちそれぞれの行動・心理描写が読者を圧倒する、究極のサバイバル冒険小説である。
傑作との評判にたがわない ★★★★★
 冒険小説の傑作として名高い本書ですが、その評判にたがわない素晴らしいものでした。
 粗筋は他の方のレビュー等でも触れられているので省きますが、ハッピーエンドで終わるんだろうなと分かっていても、ストーリーを追ってどんどん読み進めていきたくなりました。これは、主人公たちが、戦力に圧倒的な差がある共産主義者たちとの戦いをどう切り抜けるのか、そして、助けを呼びに、急峻かつ厳寒のアンデスの峠越えに挑む、主人公の仲間たちの試みは成功するのか、この二点の読者の興味を持続させる作者のストーリー展開のうまさによるものです。
 また、各キャラクターの人物造形がきめ細かく、愛すべきキャラクターがたくさん登場します。私は、主人公以上に、アンデスの峠越えに挑戦する二人の方に感情移入していました。
 一点だけ気になったのは、死の捉え方が軽いように思われたことです。これは敵にも味方にも言えることですが、特に敵(共産主義者)についてのそれは、この作品が書かれた当時の時代背景が大きく影響しているのかもしれません。
 いずれにしろ、主人公の苦悩と克己もきちんと描かれるなど冒険小説の王道を行く作品であり、読んでおいて損はありません。500ページを超える大部の小説ですが、翻訳も良く、字も大きいので、読み進めるのに苦労はしないと思います。ぜひ多くの方に手に取ってもらいたいと思います。
創意工夫に溢れた傑作 ★★★★★
アリステア・マクリーン の『女王陛下のユリシーズ号』 と『ナヴァロンの要塞』 と
ギャビン・ライアル の『深夜プラス1』 には劣るが、
ボブ・ラングレー の『北壁の死闘』 や
ジャック・ヒギンズ の『鷲は舞い降りた』 よりイイ!
プロの軍隊に対して10人の民間人が武器を手作りして立ち向かうという
創意工夫に溢れた傑作。
アンデスの高地が戦場なので、
後退して逃げるには5800メートルの峰を越えなくてはならず、
不時着した旅客機の乗客である彼らには、
登山装備が無くてまず不可能。
それでも石弓や投石器でライフルに立ち向かうよりはマシかと、
登山して逃げるメンバーも出てくるのが面白い。
1965年に書かれた作品で、
10人のメンバーの中に若く美しい女がいるのは古臭いと思ったが、
戦闘能力の無い彼女が、
ジェット機からの攻撃を無効にするラストシーンには、
巧い!と唸りましたぞ。
石弓メンバーとしては中年女性が一番戦闘力が高いのもよかった。
既に古典扱いされる本書だが、
古臭いジェンダー感は超越しているので、
時代を超越した傑作としてこれからも読み続けていかれるべきである。