まあ時代の本ですね。
★★☆☆☆
僕は、極端な話だが良い本には二つの種類があると思っていて、ひとつは「いついかなる時
でも、生きてるうちに一回は必ず読んでおくべき本」、もうひとつは「是非とも今、今この瞬間に
読んでおくべき本」、つまり賞味期限が予め設定された本だ。
「良い本」かどうかはさておき、本書『独身王子に聞け!』は、明らかに後者に親和性が高い。
僕もそうだったが、2006年2月の日本というあの時代の雰囲気、流行、経済情勢、価値観へ、
意識共々タイプスリップできなければ、この本を読んであなたが得られることは、片手で数え
るくらいしかないだろう。
本書は小泉政権末期、つまりは庶民の大多数がまだ新自由主義という上昇気流に浮かれ
きっていた時代に出版された。インタビューされる60人の男性は、「王子」と表現されながらも、
年収の一番低い人は300万円である。
「300万でどこの国の王子やねん」という話だが、おそらく当時は景気が上向き状況にあり、
それが労働者の給与に反映されていない、非正規雇用はどうなんだなどなど、問題はいろいろ
あったものの、それでも「やがては右肩挙がりに上がっていく」とか「たとえ年収は上がらな
くても職は保障されている」と思われていたのだろう。
本文中にはいろいろは独身男性が登場し、「女性よりも趣味探し」というライフスタイルが、
魅力的に紹介されているが、どうだろうか。
3年ほど経って、彼らのトレンドが「趣味よりも職探し」に変わっていないかが心配。
本書は冒頭で「結婚できない男」という常套句に疑問符を付けているが、良かったですね。
3年ごしに、この言葉が「現実」になりました。
正式には「結婚できない女と、結婚できない男」だけど。
30代、40代独身男性の考えの背後にあるものをまとめた本
★★★☆☆
30代、40代の独身男性に著者がインタビューし、その考えや行動様式を
5つの型(パターン)に分類し、それぞれの特性を紹介している。
その5つの型とは、モテ系、ナルシー系、やんちゃ系、デキる系、
スロー系であり、読んでいても、確かにこの5つの型は男性の考えや
行動をよくとらえ、それを反映したものだと感じる。
ただ、読んでいて内容にあまり深みを感じないのが難点だった。
つまり、独身男性のインタビューの字面を追って、それを分類し
まとめただけの印象を受け、そこから著者なりの考えや分析という
ものは(意図的にそうしたのかもしれないが)感じられず、
その点において、「骨」を感じられない本だった。
また、誰を読者ターゲットにしているかもよく分からなかった。
独身男性なのか、女性なのか、独身男性をマーケットにした企業なのか…
その点で☆3つとした。
マーケティングが通用しない層
★★★☆☆
30代、40代の独身男性で、可処分所得を自分の思うままにできるとは誠に羨ましい限りである。結婚して子供が生まれれば、自分で自由に使えるお金などほとんど残らない。本書に登場する独身男性は、仕事中心の充実した生活を送り、結婚をまだ先のことと考え、お金と時間を持て余している。彼らは子供に回帰して玩具を購入したり、一見無駄に思えるモノを衝動買いしたりする金銭的な余裕がある。つまり従来のマーケティングの基本的な考え方である「このターゲットにはこのモノやサービスを」といった図式がもはや成り立たず、むしろ「いつ、誰が、何を、欲してもいいようにあらゆる需要に備えておく」ことが重要なのである。例えばウェブの発達によって「仮想ショッピングモール」の存在はもはや常識であり、これらのビジネスモデルでは在庫を持つ必要がない。「ロングテール需要」に対応可能な代表的な例である。30代、40代の独身男性はウェブを自由自在に使いこなし、こだわりを持って購入する。本当に欲しいモノは何が何でも見つけるし、そのための出費も惜しまない。捉えどころのないターゲット層ではあるが、こうした層は今後確実に増加していくだろう。
「大人買い」こそ男の醍醐味
★★★☆☆
激増する30代、40代の独身男性。可処分所得が高く、こだわりの消費を行う「独身王子」の消費の実態を「ちょいモテ」「おちゃめ系」「ヒルズ寄り」「ロハス」などタイプ別に読み解く。
自分も「独身王子」な訳ですけど、確かに自分や周りを見回しても、世間が思っている「負け犬」の悲壮感はないですね。むしろ、自由になる金と時間を元手に、少年のころ果たせなかった消費を楽しむ人が多いです。
消費者としての独身王子は、確かに既婚男性とは際だった違いがあることは確か。どこまでもこだわりを見せる彼らの心をつかめば、大きな商機になると思います。ただし、彼らのこだわりはハンパではないので、売る方も相当本気で挑まなければなりません。中途半端なことをしても見向きもされませんよ、きっと。
「モテたい」「遊びたい」「集めたい」「自慢したい」。子供や学生のころに果たせなかった夢こそが独身王子の消費の原動力です。自分を含め、男っていつまでもガキですねぇ(笑)
本書に掲載されているのは、やや極端な例とは思いますが、独身王子の消費実態を垣間見るには面白い本です。
肩の力を抜いて楽しく読めるサンプル書
★★★☆☆
妙に自分と重なる部分があったりして
同じ独身男性として、とても楽しく読めた。
子供の頃買えなかったおもちゃを
一気に購入したりするなど、
「少子化」でなく「増子化」の時代、
とのフレーズが印象に残った。
独身男性の全てがここに書かれてあるとは
言いませんが、イチ参考として捉えるには
良書と思われます。
きっと女性目線で書かれているから
説得力もあるのでしょうね。