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巨人の磯 (新潮文庫 ま 1-37)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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史眼とミステリーの見事な融合 ★★★★★
松本清張さんの史眼とミステリーが見事に融合し、結実した、粒ぞろいの傑作短編集です。

「巨人の磯」「東経一三九度線」は古代史、「理外の理」は江戸趣味がよく生かされていると思います。他の2篇、すなわち「礼遇の資格」「内なる線影」には歴史ものの要素は出てきませんが、トリックにも、ストーリーテリングにも、清張さんらしい一流の腕が光っています。

バリエーションに富み、1970年代前半という清張さんの作家人生でももっとも充実した時期に書かれた作品を集めた1冊として、他の新潮文庫よりも僕はこの1冊を推したいくらいです。

もちろん「社会派」としての顔もいつもどおりで、昭和史のスケッチとして読んでも興味深いものがあります。おすすめします。
清張ミステリは社会派だけじゃない ★★★★★
松本清張作品といえば社会派推理の印象が強い。
しかし、この短編集は「こんな殺人方法ありかよ?」と驚く奇抜な凶器や大胆トリックなど、社会派との先入観を覆す作品ぞろい。
たとえば「内なる線影」には、まるで島田荘司の初期作品のような「踊っているかのようなポーズのままで硬直している死体」が登場する。
ブッ飛んだ歴史解釈と殺人トリックが組み合わされた「東経一三九度線」や、奇妙な味と言うべき「理外の理」など、全5篇の収録作の題材がバラエティに富んでいる点も良かった。