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うつは薬では治らない (文春新書)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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現実的な対処法を提示した良書 ★★★★★
著者自信がジャーナリストで且つ長年うつに苦しんできた方なので、小手先の調査ではなく長年病気と付き合い考えた事が本書のベースとなっている。実態と合わない世間の常識を著者の経験でフィルタリング出来るメリットは大きい。うつに苦しみながらも何とか仕事をしてきた体験談も参考になる。精神科に行って「うつです」と言うだけで薬漬けにされてしまう現状。副作用がキツい薬でもロクな説明をせず、投与で更に調子が悪くなっても他の薬に変えるしか打つ手の無い医師。「患者化」や「うつにもたれかかってしまう」患者サイドの問題など、うつ患者として感じていた事がハッキリ指摘されている。「うつ型人間」がストレスの多い環境に晒されてうつを発症。悪環境から離れて改善しても、原因が解消されてないと戻った時に再発してしまう。うつの根治が難しい理由を説明した上で、ではどう対処するか?という問いに現実的な解答を提示している良書。
実体験と丁寧な取材。本気でうつ病を考える人には有用。 ★★★★☆
自身がうつ病患者として12年というジャーナリスト上野玲氏による、現代うつ病環境に警鐘を鳴らす一冊です。

うつは現代病の一つとしてすっかり世の中に定着してきた感があります。こうした環境を受けて、「こうすればうつが治る」系の書籍が氾濫していますが、そもそもうつのメカニズムすらまだ解明されていないにも関わらず、安易に「治る」などど言う本は信用できない、と著者は切り捨てます。これは私も同感。そんなに簡単に治る病気ではありません。
本書では、うつに対する誤解をとき、うつの実像に迫ることがテーマです。

まずは、抗うつ薬の効能について、決して10割バッターではないと断言します。効かないことはないけれども、万能薬や特効薬ではないということです。世に数多溢れる抗うつ薬の中で自分に合う薬を見つけるのですら一苦労ですが、最終的に合う薬がなかったということも充分ありうる事態なのです。
同様に、休養についても、そう簡単にとれる立場にない人も多く、脳を休める効能は認められるものの、これも万能ではありません。

また、精神科医蟻塚先生への取材から、「完治」についても正面から否定しています。

従来の治療方針は、元の自分に戻ることをゴールにしていました。これを円の図で考えてみましょう。うつになった端緒がスタートとします。紆余曲折があって、症状が改善してきて、また元のスタートに戻る。きれいな円を描ければ、完治だと考えられていましたし、医師も患者さんもそれを目指して治療に取り組んできました。ここに解釈の間違いがあったのです。スタートしたうつになった時点に戻る、ということは、その時にうつを発症させた悪い環境に戻ることを意味します。(中略)環境が悪ければまた再発するのは当然です。言うなれば、円を描く治療方針は間違っていた、ということになります。
では、どうしたらいいか。円を描く治療プランではなく、軌道をずらして、三次元的にコイル状のような渦巻きを描く生き方を私は推奨します。

これはまさに正論で、決して元の自分に戻ることはないですし、戻る必要も無く、うつを経験して新たな生き方を始めるという考えに私も大賛成です。

続いて、SSRIの弊害について詳細に記載されています。魔法の薬、SSRIについては、認可された途端に患者数が倍増するという不思議な現象が各国で見られます。このことについては、既に多くの書籍で問題視されていますが、著者はさらにSSRIの重篤な副作用についても指摘します。これは製薬会社の手前、余り整理されて記述されてこなかった部分でもあり、一読に値します。さらに、著者はSSRIに限らず、新薬として期待されているNaSSAについても、実は四環系の抗うつ薬とほぼ構造的には同じであり、SSRI同様にいくつもの弊害がある、と切り捨てます。NaSSAのリフレックスで症状が改善した私としてはなんとも言えないのですが、薬である以上は副作用があることには納得した上で自己責任で使う、というのが正しい患者のあり方ではないかと思います。少なくとも私には今NaSSAを止める意思決定はできません。

さらに著者は、「患者化」の弊害を説き、社会から孤立した患者化になってしまわないために、「ちょっとだけ努力する」ことを示唆します。私も、患者だからという甘えは結果的に自分に跳ね返ってくるので、できるだけそうした言動はしないことを心がけていますので、まさに正鵠と感じます。

著者は、うつが「心の風邪」と呼ばれることにも警鐘を鳴らします。精神科の敷居が高くなかなか受診できなかった時代には、こうした喧伝も効果があったでしょうが、今では、このような「簡単に治る」といった誤解を与える表現は使うべきではありません。同感です。

一番心に残った言葉。

「楽観は意思であり、悲観は感情である」

そう、この病と闘うためには、意思の力で楽観を目指さなければいけないと、強く感じます。つらい、だけど逃げない。そこからしか明日は見えない、私もそう思います。私は一生付き合っていく覚悟が出来ています。共存です。時々くじけそうになりますが、ふんばって向き合って乗りこなしていく、そんな気持ちです。

過激な表現で業界内では評判がよろしくない(と自分でおっしゃっている)著者ですが、実体験と丁寧な取材に基づいた文章は説得力があり、本気でこの病を知り、闘う患者やその家族にとっては参考になるところが多いと思いました。
「市井の一患者」であるということ ★★★★★
うつ病を「心の風邪」と書くジャーナリストや編集者に対して、著者は怒りをぶちまげる。上野氏によれば「風邪であれば2〜3日、カゼ薬を飲んで、家で寝ていれば治る。しかし自分はうつになって12年経過している。うつのことを“心の風邪”と表現するようになって、精神科の敷居は確かに低くなり、誰もが気がるに受診できるようになった。しかしうつ病患者の苦しみを風邪と同一視するような風潮は絶対に許せない」という。

上野さんの「許せない」はまだまだ続く。「新型うつ病」なんか、うつ病じゃない。会社にいる時間だけうつになるが休職すればいきなり元気になるような連中と、自分のような「真性うつ」の患者が同一視される世の中であってはならない、という。「新型うつ病」患者よ、レッドカード!

本書は徹底して「市井の一うつ病患者の視点」にこだわりまくった良書である。うつで苦しんでいるのは自分なのだから、自分が自分の病気の専門家として発言しなければ・・という真摯さが伝わってくる。なぜこんなに長い間治らないのか?他に誰も教えてくれなから、自分で歩きまわって、探し回って、こんだけ調べてきたぜ、「市井の一うつ病患者」以外のどんな組織の利益も代弁せず、批判したい人間は正面から批判している、その姿勢と迫力がすばらしい。
暇つぶしにはなりました ★☆☆☆☆
著者は薬に対する大変なアレルギーがあるようです。
内科の疾患でも病気の原因や明確な治療法が確立されていなくても、
臨床的にステロイド剤が有効な症例などは多々あります。

否定的な研究結果のみを用いて製薬会社や抗うつ薬を批判するのは、
結局薬を飲んでいる自分をプライドが許せないだけと思われても仕方がないでしょう。
医師が薬を処方するのは、デメリットよりもメリットの方が大きいからです。

この本を読まれた方は
ビジネスマンの精神科 (講談社現代新書)(岩波明 著)という本を読まれることをオススメします。
東京大学医学部を卒業された精神科の医師が書いている本で、
DSMなどの診断基準が作成された経緯や薬物療法の有効性に関して非常によくまとめられています。

うつ病を専門にしている精神科医の言うことより、
ジャーナリストの言うことの方が正しいと思う根拠はないでしょう。
不安なことは主治医にぶつければいいだけで、どうかこの手の本に治療を妨げられないでください。
うつ家族にもわかりやすい本です ★★★★★
大切な人がうつになり、家族の1人としてこの本を読みました。

上野さんの本は読みやすいです。

長期である人ほど、また自分で治したい!と思っている人にオススメしたい1冊です。

綺麗事だけでなく、患者だからこその視点がこの本の良さだと思います。