ソフトウェア開発を成功させるためのプロジェクトマネジメントにおける101個の法則を、物語を展開させながらわかりやすく解説した1冊だ。本書の著者は、生産性管理やプロジェクト管理、企業文化などに関する講演、執筆、コンサルティングなど幅広い活動を行っているトム・デマルコ。『ピープルウエア』(原題『Peopleware』)、『ゆとりの法則』(原題『The Deadline』)と本書を合わせた3冊はプロジェクトマネジメントの福音書と言える。
ソフトウェア開発に関わるプロジェクトは何らかの問題を抱えてしまうものだ。その問題はいつも同じわけではなく、過去のプロジェクトでうまくいったところが問題となってしまう。それは、プロジェクトに関わるすべてのことが問題になりうるということを意味する。多くのプロジェクトのリーダーや管理者はそのことにいつも頭を悩まし続けていなければならない。
多くのツール、手法そして概念がその解決策として取り上げられているが、それだけでは解決しない。プロジェクトを形成するのは人であり、プロジェクトマネジメントに人が占める要因は決して小さくないからだ。本書は、その「人」についてフォーカスを当ててプロジェクトマネジメントを語っている。
とはいえ、プロジェクトマネジメントには多くのツール、手法そして概念は必要である。本書で提示された101個の法則とそれらをうまく活用することがプロジェクトのリーダーや管理者にとって重要である。プロジェクトマネジメントについて不安や問題を抱えている、もしくは経験の浅いリーダーや管理者にまず目を通してほしい。(新保康夫)
ソフト開発におけるプロジェクト管理手法の良書
★★★★★
「適切な人材を確保すれば、その人たちが助けてくれる。それが管理だ。」
という感じの記述があり、まったくその通りだと思いました。
メンバーのやる気やスキルに関係なく、管理者が怒鳴ったり残業させたりすれば
仕事が進むのだ、それしか方法が無いのだという管理(?)に一石を投じる一冊です。
プロジェクトは性善説によるメンバーへの信頼
★★★★☆
ソフトウェア工学の第一人者である著者が、プロジェクトマネージメントに関する101の法則を
まとめ上げ、しかも、ストーリーを織り交ぜた構成になっているので、堅苦しくなく楽しめながら読めます。
ストーリーは、主人公が架空の国モロビアへ拉致されて、6つ(結果的には18)の超大規模PJの
マネージメントを任されるところから始まり、読み進んでいくと、現実ではありえない節々があるが、
それはストーリーを盛り上げる要素としての演出として捉えると先入観なく楽しめます。
著者が提唱するプロジェクト管理とは、次の4つの本質を踏まえることであり、チームメンバーの
性善説を前提としてる印象を受けました。
・「適切な人材を雇用する」、
・「その人材を適所にあてはめる」、
・「人々の士気を保つ」、
・「チームの結束を強め維持する」
プロジェクトは千差万別であり、全が本書のプロジェクトに当てはまるものではないが、
筆者が重要視している4つの本質は、成功プロジェクトのプロセスに必要なものだと思います。
ちなみに私は101の法則ではないですが、本書の中のセリフ
「バグはモジュールの真ん中にあるんじゃなくて、モジュールの端にあるんだ」
にすごく感動しました。
CMMIやPMBOKとは違う切り口です。
★★★★★
PM本を読むに当たり、私はCMMIやPMBOK、PSPなどをキーワードに書籍の選定を行い、読み進めてきました。しかし、本書ではCMM(CMMI)などのプロセスによる管理よりも、もっと大事な事があるんじゃないのかと問題定義するところから始まります。わかっちゃいるのですが現実は本当に難しいです。人を選ぶにあたり直感を信じろとあるのですが、実際、関係者にどうやって報告しましょうか?優秀な管理者ばかりが集まっている人材バンクなんてどこにあるんでしょうか?
読み物としては面白いが、現実の既存の組織なりプロジェクトに対して、本書の観点を落とし込み、適用、実施する事はとても難しいと思います。
しかしながら、私が今まで学んだ切り口とは違う切り口の管理(マネージメント)にかんする書籍にであえてとてもよかったと思いますし、たくさんの人に読んで頂きたい書籍です。
買ってつんどくでした。
★★★★★
買ってつんどくでした。
書評を書こうと思って読んだら、予想以上に面白かった。最初の失業する人を、スパイが掠うという設定から度肝を抜かれました。
101の法則は読み飛ばしました。最後に幸せになる(ハッピイエンドな)ところがすごくよかったと思いました。
ソフトウェア開発者が幸せになるための一つの筋書きとして面白いと思います。
ここから教訓を削って出版してもらえると嬉しいかもしれません。
教訓はあくまでも読み取るもので、教えてもらうものではないかもしれないのではないでしょうか。
主人公と共に、彼の日記に記された言葉を味わう本
★★★★★
→主人公と共に悩み、主人公と共に喜び、
そして主人公と共に、彼の日記に記された言葉を味わう本
→小説として純粋に楽しめます!
出てくるキャラクターが、いわゆる「立って」いて、飽きさせません!
自分の思うがままに振舞う妖しく魅力的な女性、
どこかで名前の聞いたことのある若き成功者、
一度燃え尽きてしまった最強のプロジェクト管理者、
そして最後の最後まで悪役を演じる「どこにでもいる」権力者・・
→プロジェクトマネージャーという職業は
一般的に孤独と言われることがあります
しかし、そうではないかもしれないと、考えを改めました
だって、この本の主人公は、数々の困難を、
この個性豊かな人達と乗り切っていくのです
私にだって出来ないはずはないと..
→私が所属したプロジェクトにも
この本に出てくる「マエストロ」みたいな
「プロジェクトの語り部」がいました
このような人の価値を、なかなか会社は認めてくれないのですが
人間的な暖かいコミュニケーションが減った現在のプロジェクトには
貴重な、そして必要なメンバーであると
改めて思いました