この作品を作者の入門としてはいけないだろう
★★☆☆☆
週刊文春1979年 総合5位
アンティークレコードショップ「楽々堂」の経営者 落水が、出張先の函館から行方不明となった。共同経営者 茨木が、函館から発送されたジュラルミンの箱を開けると、そこには、首だけとなった落水が ・・・
作者の音楽趣味が満載なので、くどくはないが蘊蓄話しあたりは、興味がなければ退屈してしまうかも。箱から出てきた首だけ死体は、衝撃的ではあるのだけれど、犯人がそこまでする理由が希薄だったりする。誰がは、最初からバレバレなので、落水が出張先で購入したSPレコードの箱にどうやって、死体が入ったのかというトリックが見所なのかなぁ。ワンアイディアっぽいけど、陳腐で、驚きましたとはならない。
鬼貫警部が、後半から出てきて、ささっと事件を解決してしまったような印象を受ける。前半犯人と目された人物のアリバイを立証したのは、その人物がやとった私立探偵だったりするので、鬼貫警部シリーズと副題がついているわりに活躍が少ないんだよなぁ。
この作品を鮎川哲也入門としてはいけないだろう。
レコードの話
★★☆☆☆
1979年に光文社カッパ・ノベルスから出たものの文庫化。もともとのタイトルは『鑞の鶯』。
中古レコードの世界をめぐる、わりとマニアックな内容の一冊。蘊蓄が色々と詰め込まれており、なかなか興味深い。特に戦前〜戦後くらいの、義太夫とか謡のレコードの話は珍しかった。
ただ、ミステリとしての出来はいまいち。話の焦点が合っていない感じで、読み解いていく楽しさに欠けた。トリックも冴えがない。
鮎川作品のなかでは魅力のない一冊と思う。
良い時代になりました。
★★★★★
日本人は、鮎川哲也を読まずして推理小説を語ることはできない。
これは、事実。
それが、一時は書店から鮎川哲也の本が消えていた。
最近では、ずらっとならんでるのを見る事が増えた。
それだけで喜ばしい。
せめて長編全部くらい、いつでも簡単に手に入るようになって欲しい。
私は1ページ目から、もっていかれる...