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物語 大英博物館―二五〇年の軌跡 (中公新書)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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「美しいものは 永遠の喜びとなる」 ★★★★☆
「1753年4月に、ウエストミンスター議会において、時の国王ジョージ2世臨席のもとに
その開設が承認され、旧モンタギュー公邸を買収して改修準備に入った。それから6年の
準備期間を経て、1759年1月、正式に大英博物館は一般に公開されたのであった」。
 ひとりの医師のコレクションを契機に立ち上げられたこの博物館は、今やその収蔵物
およそ700万点を数えるに至る。「世界の主要な文明を網羅し、人類6000年の歴史を
刻むこれら厖大な収蔵物は、言葉を換えていえば『世界遺産』そのもの」。
 豊富な資料を渉猟しつつ、そんな博物館の重ねた250年の歴史をひもとく。

 本書が告げ知らせるものは、単に一博物館の歴史であるばかりか、英国史、あるいは
人間の知性の歴史すらをも包括する。文化に対する公的パトロナージュの必要、
そんなことも本書のメッセージとしてあるいは理解されるべきものであるのかもしれない。
 ただし、他のレヴュアーさんも触れておられるように、筆者の主観的印象論があまりに強く
本書を支配していて、食傷の感が個人的にはする。
 イギリスの文化に魅せられたその情熱は大いに結構なのだが、それがテキストそのものを
侵食するに至るとなれば、そこは疑問を呈さざるを得ないというもの。
 そういった鬱陶しさに耐えられる人々にとっては、有益な一冊となっているように思われる。
読んでから大英博物館に行くと何倍も楽しめます ★★★★★
本書は大英博物館の歴史にフォーカスを当てるという面白い視点で書かれている。大英博物館のコレクションがどのような経緯で増えていったか、その収集の過程にもドラマがあって面白い。また図書ルームで暴れた日本人の逸話や、コレクションが来訪者に壊されてしまうといった小話も面白い。あれだけのすごいコレクションを誇っているのに開館以来ずっと入場料無料というスタンスには感銘した。ロンドンに長く滞在できる人はぜひ本書を読んで、最低でも2日間は大英博物館に通うと、相当の人類史通?になれるかもしれないですよ。おすすめです。
思い入れはたっぷりだが ★★★★☆
著者のイギリスへの思い入れがたっぷりと伝わってくる一冊。私的なエピソードも多く興味深い。とはいえ、読者にとってそれが面白いかは別問題。失礼な言い方かも知れないが、書きたいことをただひたすら書いている感じで、全体の流れを意識しているように感じられなかった。そのため、何度か途中で読むのをやめてしまった。
「物語」と名のつく中公新書は大体読んだが、他はかなり全体の流れを意識している印象があったから、よけいそう思ってしまったのかも知れない。もっとも、「大英博物館に関するエピソード集」だと思って読めば、それはそれで面白い。

校正がどうも甘いのもマイナス。ただ、文章そのものは読みやすい。イギリス文化、歴史に精通している人ならなお楽しめる。

退屈させません! ★★★★★
 新書は、本によって途中で退屈するものもありますが、この本は単なる歴史の羅列にとどまらず、読みやすくかつ内容も充実している素晴らしい本だと思います。題名の「物語」が示しているように、大英博物館を中心にそれをめぐる人々を描くことによって歴史を辿るという手法が用いられていて、日本人は南方熊楠や夏目漱石も登場しています。