だが、この本は違う。環境税について、きわめてわかりやすい。初心者でも読めるような言葉や表現で、最先端の論争の論点をわかりやすく書いている。「フリーライダー問題」とか「社会的費用の内部化」などの術語すらほとんど使われていない。
どうしてこんなにわかりやすく書けたのか? 生半可な知識では書けない。環境税というと「面倒くさそう」とか「経済停滞につながりそう」というような印象だけで拒絶反応を起こして、思考停止の人を極力作らないように、そして、かみった論争ができるようにという、筆者の並々ならぬ情熱があるからなのだと感じた。
そう、環境税問題に不足しているのは、圧倒的な理解不足と論争なのだ。この本は、そのベースとなる基礎的な考え方を見事に読み手に与えてくれる。環境税が必要だと感じているひとも、食わず嫌いの人も、とにかく一度読んでみよう。そして、議論をしよう。そこからしか始まらないのだ。
本書ならではの良さを幾つか挙げておくと、まず
「情報の新しさ」がある。現在環境税、特に炭素税に対するマスコミの報道熱は高まってきており、また事務次官・大臣クラスでも公式の場で炭素税に言及がされ始めた今、(将来的には「最後の大型税」として、早ければ来年度にでも導入が確定すると言われている)環境税論議のレイテストの情報を知るうえで、他の書籍の追随を許さない仕上がりになっている。
また「環境税の理論だけでなく日本における実際の適用に関して」多くのページが割かれていることも見逃せない。過去の他の環境税に関する書籍は、その経済学上の方法論のみに留まるか、あるいは欧州諸国の制度設計の説明に紹介したものが大多数であった。しかし本書は、日本における環境税の制度設計・具体的な社会への影響・実現可能性といった「日本における実際適用」に関する考察を多く含む、稀有な書である。本書によって、我々は環境税論議をまさに「現実に起こっている身近な議論」として受け止めることが出来るのである。
しかし海外で実際に導入されている炭素税はそうではない、
「税収中立」な環境税を導入し、環境だけではなく
経済・福祉にもプラスの影響を与えているという事を知り、
大きな衝撃を受けました。
じゃあ「なぜ環境省は税収中立な環境税を導入しようとしないのか」
それについて考え、この本を読み進めていったとき、社会の複雑さ・縦割り行政の問題性を実感しました。
色んなことを考えさせてくれる一冊です。これを読まずして環境税は語れません。
ただ政府を批判するのではなく、自分達で炭素税の政策案を実際に構築している点も素晴らしいと思いました。
今まで、NGOの主張することは偏っているものだと思い込んでいたのですが、産業界や政府とも話し合いながらしっかりとした調査や事例研究を重ねており、非常に説得力があります。著者に企業で働いていた経験があることも、その説得力を強めています。
環境や経済・福祉などの問題をそれぞれ別個に解決しようとしては、解決できる問題も解決できません。これからは様々な社会問題を総合的に考えていくことが必要となってきます。
そのためのヒントが、この環境税にあるように思います。
しかし海外で実際に導入されている炭素税はそうではない、
「税収中立」な環境税を導入し、環境だけではなく
経済・福祉にもプラスの影響を与えているという事を知り、
大きな衝撃を受けました。
じゃあ「なぜ環境省は税収中立な環境税を導入しようとしないのか」
それについて考え、この本を読み進めていったとき、社会の複雑さ・縦割り行政の問題性を実感しました。
色んなことを考えさせてくれる一冊です。これを読まずに環境税は語れません。
ただ政府を批判するのではなく、自分達で炭素税の政策案を実際に構築している点も素晴らしいと思いました。
今まで、NGOの主張することは偏っているものだと思い込んでいたのですが、
産業界や政府とも話し合いながらしっかりとした調査や事例研究を重ねており、非常に説得力があります。
著者に企業で働いていた経験があることも、その説得力を強めています。
環境や経済・福祉などの問題をそれぞれ別個に解決しようとしては、解決できる問題も解決できません。
これからは様々な社会問題を総合的に考えていくことが必要となってきます。
そのためのヒントが、この環境税にあるように思います。