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遠距離交際と近所づきあい 成功する組織ネットワーク戦略

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: NTT出版
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実証的手法の表現スタイルは好きではない ★★★☆☆

本書は、奇妙なタイトルで一見、柔らかそうに思えるが、一橋大学イノベーション研究センター教授の経営学者が書いた、最新ネットワーク理論に基づく経営組織論が主題の内容である。要は、うまくいく組織のネットワーク構造(=スモールワールド・ネットワークと呼ばれる)とは、直接関係する部署間の緊密な連携(近所づきあい)に加え、適宜、一見まったく関係のない会社や部署間のフランクな連携(遠距離交際)が必要だということである。その実例として、トヨタのサプライチェーン(JIT)や英国ケンブリッジのハイテク集積などを実証分析したという中身である。

一般に学問の研究スタイルは大きく二つに分かれ、様々な多数の現象から一般解や法則を見つけ出す分析的手法と、限られた現象を掘り下げることによって新たな知見や応用解を見つけ出す実証的手法がある。これは、演繹と敷衍、理学と工学あるいは理論と実践とも言い換えることもできる。この点、本書は実証的手法スタイルをとっているが、経営学者特有の「ロジックの穴を塞ぐための防衛」(=繰り返しや言い訳めいたこと)表現や、少々胡散臭くて自慢話が鼻につく表現が多く見られる。ただ、実証的分析手法が好きかどうか主観的な好みの問題でもあるので、本書の好き嫌いは極端に分かれるかも知れない。

オリジナルの事例がふんだんに ★★★★★
 どうしてうちの会社は閉塞的で,風通しが悪いんだろう,という愚痴はよく耳にする。そうした組織のネットワークの構造を,理論的にかつ事例から実証的に指針を示している。つまり,近所づきあいも大事にしながら,普段は接点のない人たちとのリワイヤリングをかければ,情報が豊かに流れる,ということのよう。著者のオリジナルの事例がふんだんに紹介されている。最先端の議論だが,非常に平易に書かれており,著者渾身の力作といえよう。最後に触れている信頼やリワイヤリングのしやすさ,といった議論も読みたい。
 著者自身のリワイヤリングのエピソードも面白い。
ブレークスルーのヒント満載 ★★★★☆
最新の理論と多くの実証を踏まえた深くも斬新なテキスト。風通しの悪い組織への処方箋とイノベーションへのヒントが満載されている。コラムも多く読みやすい工夫がなされている上に、学術書としの水準をきっちりクリアしている。多くの人に薦めたい良書。ただし、トヨティズム至上主義には疑問なしとしない。

なお、自慢話と冗長かつ繰返しが多いのには正直なところ閉口する。また、既出論文の焼き直しも多く、モジュール間の整合性がとれていない。すべての著者は、自己顕示欲を持ち、伝えたいがための循環話法に陥りやすいが、冷静な編集者が良識で押しとどめなければならない。きっちり編集すれば厚さは1/3減らせるはずである。編集責任を放棄した野放しで、折角の好著に水を差している。減点1。
組織の見方が変わる一冊 ★★★★★
この本を読み、スモールワールドを形成することと遠距離を意識した
ネットワークを構築することで今までの組織に足りないところを
補える可能性が見えてきました。

組織は戦略に従うと言いますが、今までどのような組織が理想的か、
なかなか理解できませんでした。

組織というくらいなので、縦と横があって、大雑把に言えば、
縦は経営層から方針がブレークダウンされて、現場で実践され、
その情報が的確に上層部にあがる流れがあることで
横はバリューチェーンが連鎖されていることだと思っていました。
その機能を評価することで、ある程度、組織構造の適切さがわかると
思うのですが、その視点だけでは環境変化への対応やイノベーションの
誘発は困難で、別の着眼点も必要だな、と感じていました。

最近では部門横断型のプロジェクトチームなどを形成して、それらを補完
しようとする企業も増えてきていますが、何でもプロジェクトにすれば
良いというわけでもない気がしていました。

この本では近所づきあいでは小さな構造を入れ子型(この本でいうフラクタル
連鎖)に形成させて、日常的な問題にせよ、大きな課題にせよ、打てば全体
に響き、解決できるようにすること。
また、遠距離との付き合い、ネットワークを構成することで硬直化を防ぎ、
外部環境の変化を察知し、対応することができること。
この2つのアプローチが活力をもたらし、成長を実感させる組織に繋がって
いくことが事例をまじえわかりやすく書かれていました。
もちろん、本書で書かれている事例がそのまま一企業で適用できるものでは
ありませんが、考え方は非常に参考になります。
とかく縄張り意識や部署間の壁など企業内での組織の悩みはつきないところ
ですが、それを嘆くばかりでなく、遠距離のネットワークと内部のバランスを
考え直すだけでも、新たな一歩が踏み出せそうな気がしてきました。
信頼で結ばれたネットワークを評価する試みは多難? ★★☆☆☆
信頼関係で結ばれたスモールワールドと、適度な遠隔のつなぎ直し(リワイヤリング)が組織を成功に導く。経験的、直感的な知見の裏付けを期待して手に取る。

トヨタとケンブリッジと防衛庁の事例がほとんど。特にトヨタが詳しい。複数の初出を再構成した書物らしく、重複している要素も多いので、拾い読みする程度でよいだろう。概説とコラムが豊富なのは良いが、本の厚みの割には科学的なアプローチに乏しい。自身が携わった知見に立脚する姿勢は良しとして、それだけを持って一般解とするには疑問が残る。論文ではないので、ここら辺までで留めているのか。その先が知りたいところ。著者自身もまだ研究途上と認めている節もあり、今後の展開に期待したい。

コラムはさすがに幅広いトピックで、NPMやソーシャル・キャピタルなど関心のあるタームも多く含まれており参考になった。

「私の研究...」「私が実施した...」と日本人には珍しい言い回しを多用しているので来歴を確認してみると、ロンドン大学社会学修士、オックスフォード大学社会学博士、MIT研究員、INSEAD博士後研究員と海外生活が長い。これぐらい自己がハッキリしていないと、海外で勝ち抜いていけないということか。はたまた単なる英文表記のクセなのか。