その内容であるが・・・
第1章はこれまでの著作にも触れられている内容であり、特に目新しいものはない。
第2章はこれまでの日朝関係について様々な側面から検証した章である。節ごとに内容がほぼ独立しており、読みやすいと言えるが、まとまりがない感もある。ただ赤旗の平壌特派員をしていただけあり、分析は鋭いものがあるし、戦闘的といえるほど遠慮会釈なく鋭い舌鋒を発揮している。
第3章は金正日の意図を読み解こうという試みである。これがこの書の白眉である。外から見れば不合理にしか見えない北朝鮮の施策が金正日の保身という点から見ていけば非常に合理的に説明できる。
この書に限らず、些か攻撃的すぎる部分も目立つ著者であるが、半可通でない知識と経験を基に独自の視点で日朝関係や北朝鮮を鮮やかに解き明かす腕前は健在である。