飾らない食の風景
★★★☆☆
昭和40年代後半の新聞連載を中心に編まれた文庫オリジナル。流行作家によるグルメ話かと思いきや、お題になっている食べ物の話題はほんの味付け程度(でも上手いこと食べ物の話題にからめていますが)で、日々の暮らしぶりや交友録が中心のエッセイ集。よくある「旨いもの」だらけのエッセイではなく、日々の暮らしにとけ込んだ、飾らない「食の風景」が描かれています。(そういう意味では、グルメ志向の方にはちょっと物足りないかも。)
魚介類、ドリンク、といったジャンル毎に分けてしまっているので元の順番がバラバラになってしまっていて、そんなこと(編集)をする必要があったのかなぁ、と感じなくもないです。連載作品だけでなく、「食」に絡んだ作品をいくつか混ぜているのでそのような構成にしたのだと思いますが。
文学作品には縁遠くありました。こういう本を読むと「読まず嫌いはいけないなぁ」と思うのですが。エッセイ集や短編集は、ブンガクへの入門編としてもよさそうです。(そんなことを言うと怒られるのかもしれませんが。)