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団塊の世代 (文春文庫)

価格: ¥500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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30年後に色あせていない予測 ★★★★☆
著者曰く、これは予測小説という小説界の新分野なのだそうだ。
「予測とは予言などのオカルトと違い、科学的なものだ」と小学生の頃に見た子ども向けドラマで主人公の台詞にあったのを思い出す。
単なる作者の思い込みと想像力のSFと違い、あらゆるデータを科学的に分析して、今後起こるであろう未来をシミュレーションするのだから、当たっていても驚くことはないらしい。
そして、30年を経た今、少しも色あせていないことにうれしさを感じるらしい、堺屋太一さんは。

この堺屋太一さん。官僚上がりなのに、自己アピールがうまいのだ。だから小説家にもなれたし、大臣にもなれたのだろうけれど。
とまあ、前書きに自画自賛的な文章が続くのだけれど。

本編を読んで、恐れ入った。
第4話を除いて、小説としても面白い。予測がぴったり当たったということはないのだけれど、彼の予測したベクトルの向きはずれていないことに感心した。

これが科学的予測というものだろう。
経済学者の皆さんも、この本を読んで、半年・一年先の予測の精度を上げてもらいたいものだ。
歴史認識の誤謬 ★★☆☆☆
年初のTVで彼が「団塊の世代は何の方針も残さず、只去って行く・・・」と発言し、このおっさん なにを言うてんねんと、念の為読んでみたが、想像通りの文章で 我々団塊の世代が30数年どんな苦労をしてきたか、ほとんど判っていない。官僚独特の実地検証無しの展開で「感動」・「共感」が持てない。元々ノー天気なおっさんのようで、これからは、無視する。但し物語としては(本人が実際に書いているのであれば)よく出来ている。それで星かろうじて二つ。若い人はこういう人に騙されてはいけない。
堺屋氏は理想家である ★★★★☆
なんにしてもパイオニアは最も評価されるべきである。
政治に顔を出した結果、ヤケドをした感のある氏であるが、「団塊」を造語した功績というのは「負け犬」以上にすごいものだから。
私はたまたま仕事上、多くの団塊の方々とお話をする機会に恵まれている。
もちろん、それぞれ個性的であるのだが、彼らの特徴を最大公約数的にいうなら、「楽観的」がもっともふさわしい。
団塊の方々は、もうすぐ定年を迎える方が多いが、現在はおおむね驚くほどの高給を取り、子供は成人し、住む家を所有し、8割が配偶者を有し、定年後もなんらかの形で就労を続ける場合が多い。
これで「楽観的」になれないとしたら、もともとうつ病かなにかであろう。
やはり、団塊の世代は恵まれている、というのが他世代としての実感である。
三浦展のいうように、団塊が恵まれている分、そのジュニアたちがいつまでも親におんぶしているという傾向は、自然の流れというべきである。
このジュニアたちを、香山リカは「損をしていると感じている世代」三浦展は「正社員になりにくいために下流へ流れる世代」と呼んでいる。
今、日本人の誰もが明確にしておかなければならないのは、やはり、団塊の方々はこれまでのところ、もっとも公平に富の分配に預かっている層だということだ。もちろん、団塊当事者の側から、こうした声は上がらない。
堺屋氏は確か、「親の財産を子供が有償で買い取るべき」と主張しており、ご自身はそうするつもりである、と言っていた。
年老いた親の生活費や介護問題も解決できるし、階層格差を縮めるためにも、有効である、とのことだ。
やはり氏は理想主義者であるようだ。
日本において「感情」の問題がどんな大きなウェイトを占めるのか、おわかりでない。
親側がそれが可能なメンタリティを有するなら、ニートもパラサイトもこれほど多く存在していないはずではないか。やはり堺屋氏は「ブレーン」に留まる人物と思われる。
現代の問題点を白日に晒された思い ★★★★☆
四話構成の中で、一番考えさせられたのは第四話であった。
高齢者対策に関する内容で、内容そのものもさることながら、世代間で考え方にギャップが生ずるという指摘がなされていて、うわーと思う。
団塊世代の代表者たる総理府参事官は、ごく自然な価値観として、また近い将来に自分たちが高齢者になる危機感もあって、「高齢者を大切にし、支えるのは国民の当然の義務である」と訴える。
しかし30才前後と見られる若手官僚たちは「団塊世代は、高度成長期に将来に関するろくな展望も持たず、目の前の娯楽に興じた無策世代だ。そんな人たちのために自分たちがなぜ重い負担を強いられるのか」と弾劾するのである。
「やがて国を二分する議論になる」と著者は指摘するが、二分するとは思えない。
虹のようなグラデーションを描くのではないだろうか。
ちなみに私は現在43才で微妙な年齢層である。どちらの意見にも100%同調できない思いがするのだが…。
ところで、こんな話を聞いたことがある。
日曜日の午後、電車は満席。
座っているサラリーマンの前で、休日登山帰りの高齢者一行が「近頃の若者は席を譲らない」と非難がましい会話をする。
サラリーマンは「自分は休日出勤までして給料を稼ぎ、あんたたちを支えているんだ。日曜登山するくらいならまだまだ元気なんだろう。座りたかったら優先席へ行けよ」と反論する。
この話も、私はどちらかに100%同調することができない。
30年前の本でありながら、現代の誰もが何となく感じている問題点が、容赦なく白日の下に晒された思いである。
紹介されている四話とも、四半世紀たった今でも、色あせない傑作揃いだ。 ★★★★☆
堺屋さんの名著「団塊の世代『黄金の十年』が始まる」が出たのを機に、昭和55年の初版本で読み返してみた。

第一話:電機メーカーの新規事業としてのコンビニ開発秘話。 第二話:自動車メーカー(三菱?)の苦労物語。 第三話:金融業の管理職リストラ話。 第四話:中央官僚の末路…。
いずれの創作も、四半世紀たった今でも、色あせない傑作揃いだ。

新装版が出た今、冒頭の書と「合わせて一本!」の気持ちで読むとよい。