人気番組『The Simple Life』の仕掛けは抜群に面白い。裕福でわがままな2人の若い女性がロサンゼルスの上流社会を飛び出してアーカンソー州の農場に行き、携帯やクレジット・カードなしでも生きていけると証明する、というものだ。ホテル王一族の令嬢パリス・ヒルトンとニコール・リッチー（父親はポップ・スターのライオネル・リッチー）は意気揚々と農家のレディングさん宅に乗り込むが、そこで巻き起こる文化的衝突は目を覆いたくなるほど。ニワトリの羽をむしるよう頼まれたリッチーは「私、自分の眉毛以外はむしらない主義なの」と言ってのける有り様だ。2人は酪農場、ファーストフード店、家畜の競売場などで一連の仕事に挑戦するが、勤労意欲ゼロの上に、ミスすることの重大さをまるで分かっていない。主役の2人と同様に、この2003年のリアリティ・ショー（素人参加型ドキュメンタリー番組）は、魅力的でありながら不快、滑稽でありながらおぞましい展開を見せる。まるで人間のフリをした異性人を見せられているような感じだ。（Bret Fetzer, Amazon.com）