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指揮官と参謀―コンビの研究 (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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組織を動かす人間力。現代社会のリ−ダ−とは。 ★★★☆☆
リ−ダ−たるとは何かを考えさせられる。
サハラ砂漠で、ロンメル元帥率いる無敵ドイツ機甲師団を打ち破った、英軍司令官モンゴメリ−大将曰く、「リ−ダ−シップとは、人を共通の目的に団結させる能力と意思であり、人に信頼の念を起こさせる人格の力である」。
本書は帝国陸海軍が歩んだ第二次大戦の開戦緒戦の戦勝による成功から、その後の政略・戦略・戦術的な誤りによって多大な犠牲を出し敗戦に至る過程の中での諸作戦において、いかに戦争指導が行われたか。リ−ダ−となった当事者の人間描写によって失敗の本質を炙りだし、逆説的にリ−ダ−たる資質と資格について論じている。
組織を動かす人間力とは何か。本書から得られることは、経営者・政治家といった現代社会の営みの中でのリ−ダ−に求められるものにも通じる。

ただ、13例の多くの事例提示を行ったためか、失敗の本質にいたる分析にやや浅薄さを感じるところが惜しい。
リーダーをフレキシブルに選ぶ組織の必要性 ★★★★☆
私は、太平洋戦争を始めとした近代日本史についてそれほど詳しいわけではありませんが、「真のリーダー像を探る」とう帯の文句に惹かれて購入しました。

太平洋戦争、日中戦争の重要な局面を担当した指揮官と戦略・戦術面で補佐した参謀たちが、重要な局面でどのように行動したかに止まらず、その生い立ちや性格を詳細に調べ描いています。
それぞれの指揮官・参謀の組み合わせが適切だったか?そもそも指揮官、参謀として適した人物だったのか?が解説されており、それほど歴史と登場人物に詳しくない私にとっては、非常に面白い話でした。
そして、大戦の重要な局面でも、個人の資質が戦局を大きく左右していたことが良く分かります。

最初に惹かれた「真のリーダー像」については、正直どんなものかはよく分かりません。しかしながら、当時の海軍の平時に対応した人事が戦争という状況下では適切な人材を適所に送れなかったという事実から、組織をリードしていく人間は、時局によって適正が変わるため、ある条件化で選ばれたトップがいつでも適切であるとは限らないことが良く分かりました。

指揮官と参謀というセットで語ることにより、よりリアリティのある解説になっていると思いますし、この本は、トップに立つ人たちよりも、トップを選ぶ人間が参考にすべき話なのではないかと感じました。
そういった意味で、今の混沌としたにこそ参考になる一冊であると思います。
最悪高級将校のコンビがもたらしたもの。 ★★★★★
有名な指揮官・参謀コンビが13組26名と天皇が登場する。この中で私が特に関心があるのが、(1)「河辺正三と牟田口廉也」、(2)「服部卓四郎と辻正信」、(3)「牛島満と長勇」である。まず(1)は盧溝橋事件とインパール作戦における最悪の無責任連中だ。盧溝橋での支那駐屯軍歩兵第一連隊長は向戦的な牟田口大佐だ。牟田口は独断で事をする。直属上長は河辺旅団長で避戦的だが叱責もなく追認してしまう。直情径行型の牟田口は、学者肌の河辺に常に追認させ得る。後のインパールでは、第十五軍司令官の牟田口中将、上長はビルマ方面軍の河辺中将でコンビ復活だ。(牟田口は東條英機の秘蔵っ子で覚え目出たく怖い者知らず。)勲章とメーマ(ビルマ語で女の意)と新聞記者好き牟田口のお蔭で作戦結果はよく知られる。(2)は更に最悪で、開戦直前の参謀本部作戦課長の服部、作戦課戦力班長の辻、智謀と実行の両輪コンビだ。二人とも陸士、陸大優等の俊秀で、服部は内剛外柔、包容力で尊敬され、辻は内剛外剛、剛毅不屈の風雲児で問題児だ。双方が補い合う必要性があった。服部が尊敬する同郷の石原莞爾を超えるに必要なもの、それを辻の内に見たのだ。辻は新嘉坡の抗日系華僑の大量虐殺と、ビルマ戦線での人肉問題が最大の汚点とされる。(3)は沖縄防衛第三十二軍司令官の牛島中将と、参謀長の長少将だ。長は剛毅果断で陸軍一の暴れん坊、牛島は校長が似合う教育者。沖縄にはもう一人、陸大優等の俊才、徹底した合理主義者で神経質で陸軍部内で孤立の作戦主任参謀の八原博通大佐がいたので複雑だ。牛島・長コンビで、牛島は全て部下に判断を任せ切りにした。(但し責任は取ると言明。)更に長の性格を知る軍中央は、敢えて水と油の八原を沖縄に送った。これらは人事上、管理上、是か非か。
責任の取り方 ★★★★★
印象に残ったことを雑駁に言うと、山本長官が黒島参謀を重用した理由は、短期決戦、しかも奇をてらった作戦でないと米国には勝てないと思っていたこと、南雲長官・草鹿参謀のコンビには戦う闘志が、ミッドウェーのそのときに欠けていたと言わざるを得ないこと、沖縄戦の高級参謀であった八原大佐にやや冷たいものを感じること(「牛島満と長勇」)、同じく井上大将にも厳しすぎるものを感じること。

中でも、杉山・永野のコンビの描写がその状況が目に浮かぶようで面白く、一般的に評価の高くない二人の特徴が良く捉えられていると思いました。杉山元帥の戦後の責任の取り方には、著者の一定の評価が見られます。こうした(あまり本書の論旨とは異なるのですが、)それぞれの責任の取り方みたいなものに興味をそそられました。終戦後、1.命を絶った 2.絶つことを強いられた人 3.存命し、ひっそりと戦後を生きた人 4.戦後、何らかのメッセージを発し続けた人。4.の自己の正当化に走り、後の世代に何らかの教訓を残そうとしなかった人には当然のことながら、全く共感を覚えられません。

3.の終戦後は大きな自制が利いた感のある、小沢中将(レイテ戦時)は後に、悔いようなものと同時に、レイテで本当に戦ったのは西村君だけだった、と述懐しています。西村祥治中将、レイテ海戦で自艦隊ほぼ壊滅。享年54。
もう少し背景事情の検証がほしかった。 ★★★☆☆
 日本の帝国陸海軍の歴史の中での13例の指揮官と参謀という前線で「阿吽の呼吸」で一致した指揮を取らなければならないコンビの組み合わせの是非を検討している。
 もちろん、指揮官と参謀という関係はべったりで狭い視野になることのデメリットと、適度な緊張関係における適正な議論による最善の策の発見というメリット、そして、不必要な対立で、指揮系統の混乱をもたらすデメリット・・・という様々な組み合わせへの評価がされているが、13組という様々な例を挙げて論じようとしたあまり、少々背景事情の検討というか説明が足りず、かえってよく分からなくなっている部分もあった。
 例えば、日本帝国海軍の永野修身〜山本五十六〜井上成美という「トリオ」の関係を書くだけでも阿川弘之氏は3冊の本を用意したが、そのような分析に比べると、やや、浅いという感は否めない。