知を製品や事業に活かすことで企業を持続させるヒント
★★★★☆
イノベーションがなければ生き残れないというのは、グローバル化した経済ではもはや強迫観念のようなものになっている。しかし、イノベーションをどうやって産み出して、製品化、事業化に結びつけるのか、企業人としては迷うところが多い。
本書では製品開発から事業化、ライフサイクル後期での慎重な経営までを8編の論文で網羅しようとしている。
イノベーションとは、既存の知を結合して新たな有用性を生み出すことである。しかもそれが顧客にとって魅力的な価格で、かつ企業は収益が上がるコスト構造も必要とする。ならば既存の知を仲介するような人材や環境が必要であろうし、社内でイノベーションが生まれなければ社外と協業する(自由貿易に例えている)ことが考えられる。
製品化の過程でも社外と組むことや顧客をR&Dに巻き込んでリスクを減らすことも重要である。
また、破壊的イノベーションが現れたら、イノベーションのジレンマに陥らないよう十分注意し、ライフサイクルの後期の製品に無駄な投資をしないように注意しなければならない。
バラバラの論文を注意深く集めて、製品開発から事業収束までのヒントを盛り込んだ一冊である。
製品企画の基本的な考え方
★★★★★
メーカーで製品開発を担当する中堅の技術者に読んでおいて欲しいと感じる本です。
サービス全体を構想し、バリューチェーンの中でどこを担当するかを見いだし、その中で製品を企画、開発する。
この流れを身につけるきっかけにする本として好適でしょう。
大企業であれば、全部のラインを持つことは可能でしょう。
しかし、中小企業はそうはいきません。
自社の強みをバリューチェーンの中で、利益を最大化できるところに持って行けるよう事業を組み立て、製品を開発する。
従来の成長モデルの中にあった考え方とは、180度反対向きで考えるところにきているのです。
興味のある方は原書”Innovation for New Products”を一緒に見ていただけると良いと思います。