題材が今熱い分野だけに、もう少し「科学的」な切り口が欲しかった。
時折見られる「アミノ酸を摂取すると、~が改善された」との文章。
ん?どのアミノ酸の話?と疑問。
これだと、「アミノ酸は身体に良い」という抽象化された主張で商品を売る企業と大差なく、本書に「科学」と付けるのは間違いだ。
アミノ酸の構造と機能の関係を系統立てて示してあれば、もっと分かりやすく、面白く、知的好奇心を満足させるだけのものに仕上がっていただろうに。残念。
ただ、
第4章 医療を変える力
第5章 食べ物とアミノ酸
は読む価値がある。
本書はまずアミノ酸の基本説明から入り、スポーツ・美容・医療・食事の大別テーマに沿って進みます。豊富なデータに基づいて検証された説明文は、ともすれば文字ばかりでわかりにくくなりがちですが、本書は図表が多く、説明箇所のすぐ近くに掲示されているので、たいへん見やすく理解しやすいと感じました。
アミノ酸のダイエット効果については独立の章立てはなく、スポーツ・美容の章の中に含まれます。スポーツの章では、他にエネルギー補給や疲労回復効果などの解説あり。アミノ酸添加の化粧品類についてその効用の根拠、髪の毛の理論などは美容の章の中に。興味深いところでは、付録のアミノ酸製造法など。
アミノ酸の効果は知っているけれど、より詳しく知って生活の活性化に役立てたいという方にはオススメの一冊です。