情熱のあまり混沌としているが、名作。
★★★★★
テレビ放映中の本作を半ばあたりから観始めて翌日ビデオ屋にレンタルしに行きました。情熱と情念と愛が溢れるあまり全体の印象がデコボコになっています。最初の一時間では何の映画かも分かりません。ロマコメかとさえ。中盤の一時間ではそれが恐竜映画と巨大昆虫映画に変身し、それぞれのパニック逃走場面が長い長い。それが後半の一時間では真正の「愛の物語」を見せて貰った気分になります。キングコングと美女との種族超越系の愛です。
なかなか古典的な「愛の物語」です。この男女は共に天涯孤独です。孤独な魂が交歓してしまったんですね。男の方は話は通じないし恐ろしく凶暴だけれど、すごい剛力で(キングコングだ)、ワタシにだけは優しくて、どんなことがあってもワタシだけは守ってくれるの。誤解されて孤独な彼を理解してあげられるのはワタシだけ……という、結構ハーレクインかもな男女関係です。しかしその関係が完璧にプラトニックなので(キングコングだし)凡庸なハーレクインより格がグンと上がっています。皮肉な見方をすると、「超粗暴な凶悪犯罪者の恋女房ってこんな心理か?」という感想も可能なんですが。
そしてさらに興味深い現象が起こります。キングコングという「究極のアルファメイル」の存在のせいで、数多の男性キャラの男としての存在感がほとんど「ない!」ように見えてくるのです。「強い男はただ一人、残りの男はみんなチョイ役」というキリスト様やブッダ様が登場する以前の猿山的な古代社会的男性観が垣間見えます。まあキングコングが寄ってたかって他の男たちに殺されるはずだわ。そんなこんなで、妄想的深読みでニタニタしてしまうような何層もの示唆を含んだ名作でした。
やっぱり
★★★★☆
今までも復活させられては最後に摩天楼から墜落させられ殺されて来た。ピータージャクソンなら殺さないパターンもあるかもしれないと期待して観たのだが結果はやっぱり同じだった。一回くらいハッピーエンドのキングコングがあったって良いじゃないか!なのでもう一回観るかと言ったら観ません。ニューヨークにくるまではスペクタクルシーンの連続で本当に楽しく観れます。
人間味たっぷりなコング!
★★★★★
この作品はアメリカ恐慌時代で貧困、飢え、苦しみにうちひしがれているなかで、夢と希望を与えてくれた超スペクタル冒険物語だ。話の冒頭からコングに出会うまでの話は長いが事情を抱えて船に乗り、髑髏島に遭遇する為の必要不可欠な場面だ。ワッツナオミの美貌はこの時期が最高だし、役にふさわしいと思うね。映画監督の男優(コメディでは幾度も見ているが・・)もシリアスな表情に迫力があり情熱、野心が伝わって来て、こっちの方が最高だ。そう言えばジミー役の男優は「ジャンパー」に出ていたよな。豪華キャストも素敵だよね。
髑髏島に遭遇して島民に襲われてコングにさらわれるまでは、サスペンス、ホラー風な展開でクギずけだったね。いよいよ恐竜が出てきてコングとナオミが絡んだ戦いは、てんこ盛りのCGだけど最高だったよね。ツタがからまってなかなか谷に落ちていかない戦いは、しつこくて良かった。柔軟過ぎる恐竜だけど、質感が良く出ていたね。あと、カマキリ、妖怪ナメクジなど、この島がいかに恐怖に満ちたものかもわかった。
コングは主人公(ナオミ)に興味を示してきて、同じ哺乳類なので似てかまわないんだが、すッごく人間くさい感情があるんだと思うと、暴力妖怪(化け物)とは思えなくなってくる。シナリオライターの恋人と逃げられたときの嫉妬だったり、クロロホルムでやられるコングはもはやゴリラではなく恋人を奪われる人間感情に変わっている。主人公(ナオミ)もコングを愛してしまったのか。このシーンは可愛そうで泣けて、泣けてしまうのだよ。
人間社会に連れて来られたコングは一途に主人公(ナオミ)を探し大暴れしたあと、再会する。氷の張った池で遊んでしまうあたりは、可愛かったです。・・が軍に追われて摩天楼に登り、思い出す夕日の「美しい」を学んだジェスチャーで表すシーンも泣けます。最後の軍に攻撃されて、落ちていくまでのシーンは幾度見ても可愛そうでした。涙腺が緩みっぱなしで、泣かせどころ満載でした。
ピータージャクソンの夢
★★★★☆
あのロードオブザリングで有名な監督ピータージャクソン氏の念願とも言える作品がこれだ。かなりの製作費をかけて大ヒットしたみたいです。確かに面白いのですが、まずキングコングが出てくるまでの前置きが長いですね。一時間近くたたないと出てきません。さらに原住民や恐竜、デカイ虫などいろいろと出現します。私は虫が苦手なのであれを映画の大スクリーンで見た時は鳥肌が立ちました。
この映画を見て思ったのは長いということだ。3時間はある。はっきり言ってみれば削れるシーンやいらない演出はいっぱいあった。虫のシーンや恐竜のシーンは短くしてもいいし、なくたって話は進みます。従来のキングコングではそういうシーンはあまりなかったですしね。まだかまだかと思ってやっと登場です。きっと監督にはやりたいシーンや演出が多すぎたのかもしれません。だけどもう少し本筋に焦点を当てていけばもっとスムーズに話が進んだと思います。
うーむ…
★★★☆☆
確かにCGは凄い。葉っぱの一枚からクリーチャーや生物の頭の先から尻尾の先まで、更にはコングが暴れる街のあらゆる箇所がCGによって本格的な世界が構築されている。
だが、残念な事にただそれだけだ。
タイタニックやジュラシックパークなどの要素と多額の制作費と驚異的なCG技術を用いようが、やはり本家キングコングには遠く及ばない。
コングが街で晒しものにされて暴れ出す辺りからは後の展開が目に見えてしまっているし、本家で言っていた有名なセリフも言わない。さすがにこれではイカン。