老作家の晩年の日常が
★★★★★
ポツリポツリと伝えられていたものです。
旺盛な好奇心が、ひろい範囲の読書にあらわれています。
ホフスタッターをよんでいました。
それは、若い者にとっても驚きでした。
武田百合子『富士日記』とも交錯する、時代の記録
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70歳を過ぎてギュンター・グラスと往復書簡を交わし、
映画をはしごし、「北斗の拳」を論評するなど、
好奇心と知的探求心とどまるところを知らない
大作家の晩年の姿が、爽快な感動を与えてくれる。
武田百合子『富士日記』ファンには、山荘の隣人として
おなじみの大岡昇平だが、氏晩年の日々を記録した
本書でも、武田泰淳亡き後の妻 百合子・娘 花との
交流がしばしば描かれて、興味深い。
『富士日記』と併せて読むことで、まだ「文壇」が生きていた
時代の空気を感じ、昭和後期の作家や思想家たちの暮らしぶりを
舞台裏からうかがっているような気分になれる。
ファンは手元に置いておくべきです
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日記体の雑感集
著者70歳の1979年から1985年まで、楽しげに語られている
著者の読書量と好奇心の広範さにはビックリするが、
読んでいるこちらも楽しい気持ちになってくるのは、
自分をすっかり客観・相対化した書き方だからかもしれない
「俘虜記」の面白さもそんなところから出ているのでしょう
大岡昇平という人は当然、誰もが認める大横綱ではあるんですが、
俘虜体験や小林秀雄・中原中也との関係があるせいか、
本人にはその自覚がほとんど欠けているような気がします
だからあんな文体になってくるのでしょうか
上下巻買ってたまに拾い読みするくらいなので通読はしてませんが、
ファンは手元に置いておくべき、と思います