いよいよ最終巻
★★★★☆
(第3部からのつづき)
第3部に引き続き、ホッブズはカトリック教会の支配の不当性を論証すべく、綿密な聖書解釈を展開してみせる。
「暗黒の王国」という第4部の表題が指しているのは、ローマ・カトリック教会のことである。
ローマ法王は聖書をねじ曲げて解釈し、キリストの代理人を僭称して、教会が「神の王国」であると偽っている。ローマ教会は、誤謬の教義により人々を支配する、「詐欺師の同盟」としての「サタンの王国」にほかならない。
こんな教会に、主権国家が従属させられるいわれはない。やはり人々を支配する正当な権力が認められるのは、社会契約によって成立する「国家主権」のみである。
ちなみにこの岩波文庫版第4分冊には、『リヴァイアサン』第4部の後に、「リヴァイアサンへの附録」第1〜3章(「二ケア信仰箇条について」「異端について」「リヴァイアサンに対するいくつかの反論について」)が収録されている。いずれも、対話篇の形式で書かれた、ホッブズによる『リヴァイアサン』本文への補足である。個人的には、異端者の処理をめぐって「市民法」と「神の法」の関係が論じられる第2章が重要だと思う。