大変オススメ
★★★★★
日本語タイトルは、現代中国の不当で劣悪、人権無視を摘発した内容に感じ取れるが、実際は全く異なる。
アメリカで育ちながら、中国人家系の著者は、自身の育ったアメリカの環境・文化と中国での環境・文化が、まるで異なったものとして驚嘆する。
しかしながら、持ち前(であろう)の優しく暖かい等身大の視点で、過酷な環境で働く女性出稼ぎ労働者たちを見つめていく。
彼女達はその環境に政治的・社会的な疑問を抱くことなく、自身の成功や成長のため、ポジティブに、無邪気に、また手段を選ばずに進んでいく。
また同時に、著者のルーツを探して、特に祖父の人生を通して、中国という国と新しい場所へと移住・生活していく意味を視点を変えて考察していく。
二つの異なるテーマがやがてひとつに集約し、現代そして過去の中国人の価値観を導き出している。
特筆すべきは、まるで小説を読んでいるかのようなワクワク感と、筆者の暖かい視点。私も中国に暮らし中国人と接していたが、表面的な現代中国を語る昨今のビジネス書と異なるリアルな中国人労働者の心情描写に共感させられるし、著者のルーツのくだりは、中国民主化以降の歴史を掻い摘んで分かりやすく、且つそこに暮らした人々の足跡が直に感じられる素晴らしい内容となっている。