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貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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疑心暗鬼・政治不信・個人主義 ★★★★★
社会主義の国家体制中の貧富の差という、現代中国の矛盾を描き出したルポルタージュ。実際に貧困の中にある人たちとともに生活をしたからこそ描き出せる内容である。

巨大な国にあって、汚職・差別・学歴・病気等によって貧困のそこにあえぐ人々の実情を浮き彫りにしている。特に戸籍制度とそのために生まれた「農民工」という身分の人々の生活が痛ましい。「人海戦術」など、過去の特徴だった集団の秩序は、いまや市場開放によって完全に壊滅してしまっている。疑心暗鬼・不信・個人主義が蔓延した中国の今後を見ていく上で、是非お薦めしたい一冊。
看板に偽りなし! ★★☆☆☆
 ショッキングな書名のとおりに、エイズの蔓延や荒廃す
る農村など、最初は中国の現代社会の衝撃的な実態の
記述が続きます。一方後半は、都市の市民戸籍と農村
の農民戸籍を分ける戸籍制度や農民を縛り続ける土地
所有制をそれらの遠因とし、その沿革、背景、実情など
を客観的に分析しています。前後半のトーンの違いが微
妙です。
 ともあれ、著者が体を張った調査でこれらを内側から
明らかにしたのには稀少価値があります。というのも、
歴史的に官僚国家である中国で一党独裁で市場経済
化を進めるというのは、いかにも無理があるとは大方が
予想したことです。にもかかわらずこれまで判断に資す
る情報は、本当に少なかったからです。
 少し気になったのは、これを他山の石として参考にしよ
うとしている姿勢です。社会主義国の市場経済化という
矛盾から引き出せる教訓は、限られるのではないので
しょうか。
 また、日本・韓国・シンガポールが辿った成長の軌跡
を対比の物差しにしようとしているのもどうかなと思いま
した。これらの国でもその過程(その結果ではありませ
ん)で、程度の差はあれ貧富の格差の固定化、都市と
農村の対立、そして自然環境の破壊など、深刻な問題
が進行しました。その限りでは、今の中国と共通ともい
えます。もう少し考えていただけたらと思いました。
中国の底辺を取材した渾身のルポルタージュ ★★★★★
高度成長をひた走り、チャイナマネーで米国債を買い、また「富裕層」は銀座で買い物をする。その一方で、農業戸籍と非農業戸籍という実質的な身分制度を持ち、格差は拡大している。そのような中国の底辺を取材した渾身のレポート(ルポルタージュ)である。

中国は、13億人もの人がいて、下から上まで様々で、一面から語ることはできない、ということをあらためて感じさせてくれた。
秀作です。これからの日本に関心を持つ人には必読に近い報告です。 ★★★★★
筆者はまず国情から長期滞在型実情把握に限界があることを認め、その上で可能な限り現地社会に入り込み、その姿を客観的にとらえるべく努力したことを冒頭で開示している。また、後書きで日本の社会との対比を念頭におきつつ分析を試みた点も説明している。前提条件を示す著者の姿勢は極めて評価できる。だからこそその報告には驚くべき説得力がある。経済発展著しい中国だが、そこには農民工の存在と戸籍上の差別、都市への人口流入のもたらす経済発展の功罪、都市部と農村の格差、これらは資本主義発展過程で日本でも経験済みであり、更なる経済発展が長い時間をかけて解消をもたらすかのように映る。しかしながら、ここにある社会主義経済発展の歪「信頼、正義、互助の人間性が失われ、社会が崩壊していく現実(筆者)」は発展を為し得た日本社会の向かっている方向ではないか。もはや解消不可の社会的格差、「社会階層により異なる調整不能な利害関係のねじれと既得権益を守る勝ち組」(筆者)、教育の崩壊などの問題点はあまりに重なって見える。発展途上過程と発展の先にあるものが同症状というのは実に暗澹たるものがある。それを理解するにも又隣国中国の一局面を知る上で、非常に良くできた報告です。一読すべき。
現地に行ったことがあるというより、現場にいたから可能な報告と分析。冷静ななかにも中国農民への暖かい目も感じる。反中本ではない ★★★★★
エイズ村、貧しい農村、競争で渦巻く学校、農民工の話だ。
著者は徹底的に現場密着で得たものをこの本で披露している。中国はこんなにひどい国だと告発するのでは
なくて、農民や競争に駆り立てられていく子どもへのシンパシーを基礎に今ある状態がどういうメカニズム
で作られて来たかを分析している。農民の生の声や学校現場の教師、指導者の意見も数多く引用されている。中国の実態を信頼度の高い情報に基づいて深く知りたい人向けの本である。

個人的に勉強になったのは農民にかかる負担(農民税)のこと。
これがいかに不合理なものであったかは読めばわかるが、都会でない、工業も商業も発展していない地域のことを考えると庶民も地方の村、県、市の管理者も大変だとつくづく思える。それに加えて「伝統的」な腐敗克服のこともある。