『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』の著者による続編。今回は「問題解決」の前段階となる「問題発見」にスポットを当て、そのTIPSと技術を、わかりやすい実例を交えながら解説している。
著者によると、我々がうまく問題解決できないのは、多くの場合、問題そのものを正しく認識できていないことに原因がある。本書の前半部分では、その問題認識を困難にする原因をいくつか挙げ、正しく問題認識するための心構えを提供している。たとえば第1部では、「『現状』に対する過度の驕りが、『現状』を直視する目を曇らせる」、「『あるべき姿』へのこだわりから、逆に『現状』が見えなくなる」、「このままの『現状』が続くと将来の『現状』がどうなるかを、客観視しようとしない」といった阻害要因を説明し、人々がなぜ問題を直視しようとしないのか、その理由を探っている。
そして、第2部では問題発見のための構想力を身につける、という目的のもと、「問題発見の4P」(Purpose、Position、Perspective、Period)を解説している。この4Pは、正しい問題発見のための重要なツールであり、4Pに沿って「そもそも何のために」、「いったいだれにとっての問題なのか」、「どの空間軸で問題をとらえるのか」、「どの時点での問題とするのか」と問いかけていけば、正しい問題認識に近づくことができる。
最後の第3部、「問題発見分析編」では、マッキンゼーでも使われているというMECEの手法や、トレンド分析、+/-差異分析、集中・分散分析、付加価値分析、CS/CE分析など、問題発見と解決のための分析手法が示される。問題解決の糸口となる問題発見の技術をわかりやすく、かつ具体的に示した良質なテキストである。(土井英司)
問題を発見する際のコツや問題解決を考える際の罠がわかるお勧め本
★★★★★
「問題解決」の本はかなりの数が出版されているが、「問題発見」についてはなかなか良書が見つからなかった。
本書については「問題とは何か」から始まり、どのようにして問題が定義されていくのかということが丁寧に説明されており、非常にわかりやすく実際のビジネスにも役立つスキルだと思います。
中盤の分析手法の紹介部分については、仕事内容によって使用頻度は変わってくるかとは思いますが、前段の問題解決の考え方などは非常に感銘を受けました。
分析手法の字引きとしても
★★★★☆
「問題解決プロフェッショナル」の続編。
前著が問題に対してどうロジカルに対処すればよいかを扱っていたのに対し、この本では、そもそもなにが問題なのかを発見するための思考法を扱っている。
問題を発見するということは、現実と理想像のギャップを分析するということ。そして理想像は、Purpose、Perspective、Position、Periodの四軸で捉えていくことが大事ということ。それがこの本の主旨。
ビジネスの場では、目の前の現実に捕われてすぎて、ともすれば理想像など考えから外れてしまう。この本で説かれるように、理想像を持ちながら、現実に対処していくということ、難しいが、常に心掛けたいものだ。
後半では、問題発見のための様々な分析手法が紹介されている。こちらは読んだからといって即使える訳ではないが、字引き的に使うのには便利。
とりあえずオフィスのデスクにいつも置いておきたい本かな。
まさしく名著。第2章が本質を突いている。
★★★★★
再読。
前著「問題解決プロフェッショナル」に続く本書は、問題を解決するには、まずは解決すべき問題を正しく定義できなければいけないと説く。
そして、問題を捉えきれていない例が、非常に多いと。
本書は、前著よりも本質的で深い議論が展開されていると感じた。
あるべき姿と現状、そのギャップが正しく設定されていないパターンを体系的に論じており、実例を交えながらその弊害を主張している。
なかでも、本書の中核をなす、第2章の「問題発見の4P」というフレームワークについての説明は、本質的であり重要なものだった。
あるべき姿を構想するためには
Purpose
Position
Perspective
Period
の4つを視点から考える事が必要不可欠であり、これらの相互作用を理解して問題を眺める事が、問題発見につながると著者は言う。
第3章の分析編はツールの説明に終始しており、あまり示唆を得ることは出来なかったが、
第2章の部分だけでも十分に一読の価値があると言える。
総括して、星5つ。
正しく問題を発見することが肝要
★★★★☆
本書は、問題解決を行うためには、正しく問題を発見することが肝要である、
そもそも問題とは、「あるべき姿」と「現状」の「ギャップ」である、
といった内容で始まる。
前半は、「問題発見の4P」というフレームワークや、
具体的なエピソードが紹介され、正しく問題を発見することの難しさ、
大切さについて、書かれている。
後半は、問題の本質を分析するための3つの視点
(「拡がり」、「深さ」、「重み」)について触れられ、
それぞれの視点を裏付ける具体的な分析手法について、
紹介されている。
前半はすんなり読み進めることができるが、
後半は、具体的なケース・演習などもあり、じっくり取り組むには、
非常に濃い内容で、一人では消化が難しい面もあるため、
この内容を基に、チームで話し合いをすると面白いかもしれない。
問題を分析するためのフレームワークとしても
活用できるため、非常に有用な内容だった。
商売のタネでもある、ノウハウ面の公開を
もう少し期待していたため、☆-1とした。
知らなければ対策は打てないのだ
★★★★★
前著、「問題解決プロフェッショナル」は衝撃的内容だったが、本書はその前段階とも言える、「問題を発見する能力」について解説をした本です。
「MECE」、「C/S、C/E分析」、「コーザリティ分析」などは前著とかぶっていますが、本書が問いかける問題提起は前著を超えています。
そもそも、「問題が何か」を理解しなければ、「解決策を模索する」事も無いわけです。
そしてそこで検討されるべき問題が、真の問題であるのか、という考察もまた、解決策の模索以上に、重要な視点です。
「どうやって解決させるか」を論じた本はたくさんありますが、その前の段階で、「本当にそれが問題なのか?」を問い、そこに向けての解答を導いてくれる本はそれほど多くありません。