死が迫った人にどのように接するか
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私の父が末期ガンとしり、家族として父にどのように向き合っていくかのヒントとすべくこの本を手にとりました。
すべてをみとめてあげ、きいてあげる、そうした態度で接することで少しでもよい人生であったと父が思ってくれれば、という気持ちになりました。
「生きる」ことの意味についてあらためてかんがえてみたい人にもオススメでしょう。
いのちを大切にできないのは、その人が苦しいから
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「いのちは大切だ」と頭ではわかっていても、自分で自分の命を絶ったり、
誰かを傷つけてしまう。それは「いのちを大切に思っていない」からではなく、
「あまりにもその人が苦しんでいるから」と、この本の著者は語っています。
そして、苦しみの中にいてもいのちを大切にする方法は「ある」…と。
ホスピスという、究極の苦しみの中に置かれた患者さんと接する医師である
著者の言葉には、圧倒的な説得力があります。
単に「いのちは大切」という観念論をふりかざすのではなく、
誰もが抱える「苦しみ」にスポットを当て、その苦しみはなぜ生まれるのか、
苦しいとき何が生きる支えになるのか、を語る中で、
「いのちの持つ可能性」が読む人に伝わってきます。
苦しんでいる人がまわりにいたとき、どう接すればその人の支えに
なることができるのか、についても詳しく書かれており、
医療関係者や介護に携わる人、教育関係者にも読んでもらいたい
箇所がいくつもあります。
何よりも、私が不治の病にかかったら、こんなお医者さんに出会いたい。
「患者さんを治せない無力の自分のまま、そこにいられる強さがほしい」
と語る著者の、人間としての本当の「強さ」に心打たれます。
患者の「症状」ではなく「苦しみ」に目を向ける、こんなお医者さんが
増えてくれたら…そう思わせる本です。
「頭がシャープ」+「どろっとした部分」
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ホスピス医といいますと山崎氏を思い浮かべます。彼の文章も独特な読後感がありますが、小澤氏の文章も味があり、リズムも感じます。文は人なり、なのでしょう。教え子の中学生にも読みやすそうです。
理想は日ごろ読んでおいて、悩みに突き当たったときに再度ページをめくる、といった感じでしょうか。小澤氏は頭がシャープなのでしょう、説明がわかりやすいです。無駄がありません。
しかし大事なのは最終章です。キレイだけではないことが記されています。人生の深みを生徒に知らせる良書ですよ、これ。