諺で読み解くロシアの人と社会
価格: ¥0
本書は「ロシアの諺の特質」の解明をめざしたものです。諺は本来、語呂の良さ、人間の本質を鋭く突いた寸鉄、人情の機微に触れた頓智、支配者階級の圧政をあてこすった皮肉などによって民衆に愛され、人の口から口へと伝えられた音声表現の言語です。ロシアの諺は、表現面と内容面の両面において考察する必要があります。
表現面においては、俚諺表現に固有のロシア語の韻律、文語と異なる民衆的口語の文法、比喩表現に注目しなければなりません。内容面においては、個々の諺が成立した時の歴史・時代・社会・文化・民俗的背景を考慮の入れなければ、それらの諺の意味や面白さが理解できない、と思います。
本書は、そのような考えに基づいて十年前に書かれ、東洋書店から「ユーラシア・ブックレット」№104として2007年2月に出版されました。版元の消滅により本書も書店から姿が消えました。「十年一昔」と言います。筆者もそれだけ年を取り、稿を新たにすることが困難な状況にあります。(あとがきより)
=目次=
はじめに
第Ⅰ章 諺とは何か
諺と諺風成句
音声言語としての諺
口承文芸としての諺
諺の比喩法
第Ⅱ章 農奴制のロシア
大地に生きる
富める者と貧しき者
農奴制のもとで
ヴォルガへ
商売上手
貴族の目から見れば
家畜とともに
すなどりびと
第Ⅲ章 ロシア人の食生活
酒
諺にあらわれる酒
酔っ払いの登場
ロシア人の酒の飲み方・勧め方
食物
第Ⅳ章 ロシア人の家・家族・人生
農民家屋
蒸し風呂
ペチカを囲んで
家族
結婚まで
婚礼の宴のあと
浮気・不倫
子供
青年から老年へ
あとがき
参考文献