先生の「想い」、子どもたちの「想い」
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金森学級と初めて出会ったのは、大学の教育学の授業だった。NHKスペシャルのビデオを見ながら、いい年して泣きそうになったのを今でも覚えている。
命の授業ということで、子供たちが命について悩み考えていく場面がたくさん登場する。この「命の問題」というものは大人である私達でも、こうだ!という明確な答えが出せるものではない。ということで、子どもたちはいろいろな体験を通して、いろいろな人に話を聞いて、この答えのない問題にぶつかっていく。
その過程で悩みながら前へ進んでいく子たちの様子に心を打たれる。
こんなに純粋な時期がきっと確かにあったんだろうなぁ、と思う一方で、大人になるにつれ、そうでなくなっていく(ように感じられる)のはなぜかなぁと考えながらもう一回読んでみたい。
この子供たちの姿ともうひとつ目を引くのが金森先生の授業運営の仕方だろうか。
きまったカリキュラムの中で身につけなければならないものを押し付けるのではなく、一言でいえば、引き出すことで身につけさせている。
子供たちが自分なりに考え、自分なりに行動することを求めている。
最終的に解決するのは自分であること。
しかし、それを助けてくれる人が周りにいること。
そういったことも、子どもたちは感覚的に学んでいくのだろう。
金森先生の課題の出し方が絶妙だ。
ただ、面白い体験をさせて面白かったでは終わらせない。
その体験からいろいろなことへ思いを馳せていけるような着眼点をさりげなく提供する。
子どもたちがその体験で得たであろう何かをしっかりとした形として残すようにしている。
ちょっとうまくつつけば、こちらが驚くぐらいの発想や認識を示すものなんだなぁと感心した。
これは学校教育だけでなく、広く「教育」という場面で参考になると思う。
ここで、私の先生はどうだったかなぁと思い起こすと、あの授業はきっとこんなことを狙ってたんだなとか、あの時の授業はこういうことを学んで欲しかったんだなぁということに気づいたりする。
その小学校時代の先生の「思い」や「願い」を思うと、これまた泣けてきたりする。
金森先生のような先生は、やり方こそ違えど、自分の周りにもいっぱいいたんじゃないかな。
非常に示唆に富んだ内容であるように思う。
読むだけなら半日もかからない。
しかし、そのあとの余韻はきっと何日も続くことだろう。
人間を育てるとはこういうことなのか
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星が5つしかないが、50個でも足りないくらい素晴らしい内容だ。
この本は私の読書人生の中で間違いなくベスト3に入る。
教育とは何か。
人を育てるとは何か。
他人と関わるとはどういうことか。
教師の役割は。
教師と言う職業に今でも憧れがあるからかもしれないが、この本には教育のエッセンスが詰まっていると思う。
NHKの番組でかつて取り上げた学級のことが気になり、プロデューサが頼み込み、1年間の密着取材を行った記録。
「学校に来るのは何のためや?」
「ハッピーになるため!」
2002年、金森俊朗先生56歳の時の4年1組の1年間の記録。
4年1組は常に全員が「ハッピー」になるために授業を行い、互いを思いやる。
このクラスには「手紙ノート」がある。
日記ではない。
クラスメートに当てた手紙であり、毎日3人ずつ読み上げ、それにみんなが答える。
ある日、連くんのおばあさんが亡くなった。
そのことを手紙ノートに書いて来た連に、みんなが感想の手を上げるが、いざ発言しようとすると涙で言葉が続かない。
そうしながら10人目の発言、光芙由(みふゆ)が話し始める。
彼女は3歳の時に父親を亡くしたことを話し始める。
クラスの誰も知らなかった。
金森先生は思わず光芙由を抱きしめ、光芙由も堰を切ったように泣き出す。
光芙由が父親のことを話さなくなったのは2年生の時からだった。
友達と話している時に、父親がダンスの発表会に来るか来ないかと言う話になった。
光芙由は父親は亡くなっていることを話すが、友達は「ごめんね」と言った。
友達がなんで謝ったのかわからず、特別に見られるのが嫌で光芙由は父親のことを話さないことに決めていた。
10日後、光芙由は父親の職業はデザイナーだったと書いて来た。
それを受けて、みんなはその絵を見たいという。
翌日、父親の絵を持って来た光芙由は誇らしげにみんなの前に絵を持っていく。
その素晴らしい絵は、父親が最後に描いた絵だった。
先生は聞く。
「光芙由も描きたい」
「うん」
金森先生は黒板に大きく《光芙由・父のような仕事をしたい!》と書いた。
この本を読み終えた時に愕然とするのだ。
これが本当に4年生のクラスなのだろうか、と。
4年1組命の授業
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現代の学校教育のあり方や、大人の世界での人間関係のあり方など大きなテーマーを投げかけているように、感じます。『人と人が繋がりあう!』より多くの人にこの本を読んでもらいたいと思います。
子どもたちがいとおしくて胸が痛かった・・・
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学級運営をスムーズに行おうとすると、手っ取り早く「おさえつける」
方向にいってしまいがちだと思うが、一人一人の子どもたちの心をのぞいてみたら愛おしくてとってもそんなことできないなーと感じた。
胸がいっぱいになるところばかりで、心に愛があふれた。
本当に子供はすばらしい
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この本のテレビを見ました。先生が子供たちを信じる姿勢が、
子供たちに伝わっていったと思います。そして職員集団としての学校のあり方も大切な土台だと思います。