かなり整理されている良書
★★★★★
コンサル会社に転職して4年、パワーポイントで相当数の資料を作成してきた。
それなりに資料作成に自信はあったが、毎回作成の度に基本的にはゼロから考えている状況であり、非効率さを感じていた。
今回、資料を作成する際、この上下巻の内容を実践してみたが、かなり資料作成について自分なりに整理できたという印象だ。
また、自分のパターンを形作ることができて、これから資料を作成する際の時間を短縮できそうだ。
「問題解決の全体観」の上下巻も購入しているが、資料作成ということにクローズしている分、こちらの本のほうがすぐに役に立った。
「ドキュメンテーションスキル」を体系的に学べます。
★★★★☆
本書のタイトルである「全体観アプローチ」とは、
「原則」「手順」「技法」「試合運び」と著者が呼ぶ、
4つのノウハウを合わせて使うアプローチのことです。
ドキュメンテーションに関する方法論や書籍は、
論理的な文章を書く技術、ロジカルライティング、
など色々な表現を使って世の中に出ています。
本書も、4つのスキルを取り扱っています。
1. 論理思考力(ロジカルシンキング)
2, 文章を書く技術
3. 図表を描く技術
4. 問題解決力
但し、本書は4つのスキル自体、もしくはいずかに特化して
解説しているのではなく、4つのスキルを明確に手段と
位置づけている点が、類書と決定的に異なる点です。
これは、ドキュメンテーションスキルの本質であると思います。
つまり、ドキュメンテーションスキルは、考える力、書く力、
描く力の総合力であるということです。
本書「上巻」では、前半の2つ(原則と手順)を解説しています。
本方法論は、あらゆるタイプのドキュメント制作に共通すると
著者は仰っています。ただ、本書を読むと、パワーポイントで
作成するドキュメントに最も有効であることが分かります。
著者がコンサルタントであることを考えると納得できます。
原則
原則は、3つ挙げています。
位置づけはドキュメント制作において守らなければならないことであり、
常に意識すべきことです。
原則は「意識」の問題ですが、意識し続けられるか否かで
ドキュメントの質は大きく変わります。
ポイントは、具体的なアクションを促すことができないドキュメントは
価値が無いという点だと思います。
手順
本書は全220頁のうち、実に7割以上がこの「手順」の解説です。
手順は、4つのステップからなります。
各ステップは、定義やなぜそのステップが必要かの理由付け、
実践の仕方の例示など、丁寧に解説されています。
手順の1つ目である、ストーリーづくりでは、論理思考の考え方が
十分に活かされています。
前著「問題解決の全体観」でも取り上げておられた
「空雨傘ストーリー」がここでも登場します。
本書を読むことで、ドキュメンテーションにおいても、
如何に論理的に考え、構成することが重要であるかを再認識できます。
同時に、分かりにくいドキュメントがなぜ分かりにくいのかを
学ぶこともできます。
パワーポイントでドキュメントを作成する機会が多い方にとっては
有用な書籍であると思います。
素晴らしい
★★★★★
Amazonで購入(上下巻)して一気に読んだ。姉妹編の「問題解決の全体観」も読んでいたので期待して読んだが、本レビューのタイトルどおりの印象。少し大げさに聞こえるかもしれないが、一行、一行示唆に富む内容であった。ただ、本書の理解にはある程度の実務経験が必要であろうし、好みも分かれようかと思う。また、著者中川氏と同業のコンサルタントや、民間企業の企画部門の方々を主な対象としている思われるが、公務員系の職業人にも是非読んでほしい。