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阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)

価格: ¥693
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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素早いリアクションできないアジアの私たち ★★★★★
 最近、魯迅の『阿Q正伝』を読んで、フレッシュな感動を味わった(題名だけは知っていたのですが未読でした)。阿Qは貧しい労働者。いじめられて、あまりに悔しくて自分を殴り、殴っているうちに他人を殴った気になって、痛いのを忘れ、さっぱりして寝てしまう、そんな屈託のない男だ。最後には何の因果か、書類のここに○を書けと警官に言われ、瓜のようなひょろ長い、情けない○を書いたと気にしているのもつかの間、罪状を認めたという事で死刑になる。阿Qを見捨てる同胞の残酷さが浮き彫りにされる一方で、死刑になる前に一曲歌でも歌わなきゃ、と気をもむ阿Q。あれよあれよといううちに死刑になる阿Qの人生に違和感を感じないのは、アジア人だからかな。運命に逆らえない、草食動物のようなアジア人。茨城県で放射能漏れがあっても、素早くリアクションできない私たち。阿Qの生き様は、「危機管理」で素早く行動する肉食動物な欧米の人々にはわからないかもね。

1999-9初出 2002-09-17 作成
ある本から辿りついた言葉 ★★★★★
表題の二作品が、あまりにも有名であらためてコメントもいらないが、
この作品集のタイトルである「吶喊」(とっかん)という言葉が印象に残った。

一般的に「吶喊」とは、「敵陣に突入する時など大勢が一時にわめき叫ぶこと。ときの声をあげること」(広辞苑)
とされている。本書「自序」に込められた作者の意図を、ある人はこう解釈している。
「鉄の壁の部屋に閉じ込められている自分。
もはや自分自身は社会改革の担い手にはなれないが、
せめて重責に耐えて活動する革命家の精神的苦痛をやわらげるための声援を背後であげてやろう。」
そんな熱い思いが込められているとのこと。

この作品集の中の一つに「故郷」がある。
巻末解説によれば、魯迅は1919年の末に、帰郷して家を整理し、一家をあげて北京へ移住しており、
そのときの体験を加工したものであろうとされている。
この作品の最後は、こんな言葉で結ばれている。

「希望といえば、かれらは新しい生活をもたなくてはならない。私たちの経験しなかった新しい生活を。 (略)
 思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。それは地上の道のようなものである。
 もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」

この作品集から紡ぎ出されるす言葉を辿っていると、
「希望」と「寂寞」とが表裏の関係にあるように思えてくる。
ここに収録されている作品を通して、
いずれも寂寞を希望に変えていく力をもらうことのできるのではないだろうか。
『吶喊』 ★★★★☆
去年、魯迅公園だとか魯迅博物館に行って以来、
読まなきゃと思っていた魯迅。
国慶節で日本に帰ったときに、ヨメが買ってきていました。

魯迅の最初の作品集である『吶喊』(とっかん)をそのまま
再現した短編集。
冒頭の「自序」を含めて15作品が収められています。

中国近代文学の父と呼ばれる魯迅が、20世紀初頭、
清代末期から中華民国の時代までの、中国人民の
苦悩を皮肉も交えて描いています。
どこかで感じたことのある雰囲気だなと思ったら、
日本の明治の文豪、夏目漱石と会い通じるところが
あるように思えます。
古い価値観と新しい価値観の狭間の中で揺れ動き、
世を憂う心。

代表作である「阿Q正伝」だとかは入っているのですが、
日本にもゆかりの深い「藤野先生」は収録されていません。
別の文庫には入っているみたいですが。
機会があったら、読んでみたいですね。

はじめての中国文学 ★★★☆☆
中国文学を読むのは初めて。今まで好んで外国文学を読んでいた節はあるけれど中国というのは文章的になじみが薄く、正直読みにくかった。なにより名前の区別が出来ない、というより覚えられない・・・(−−;)

話的にはとりとめのない読みやすいものだと思うので、中国文学をはじめて読むにはいい導入になると思う。短編が沢山あるのも取っ掛かりやすい要因。
とりあえず1冊終わったことでほっとした。
誰の中にも存在する阿Q ★★★★★
阿Qは当時の中国人の内面をモデル化したものというのは
万人が知るところであります、
しかし、私がこの本を読んで何よりも衝撃だったことは、
私の中にも阿Qは存在するということでした。
全てを自分の都合のいいように考え、そのくせ人に誇れる
ような努力はせず、他人に愛を与えることをせず愛を乞う
ばかりの滑稽で哀れな存在。
青春時代の私はまさに阿Qそのものでした。