このデフレ不況の中、北海道の便利とは言えない土地に本格的なリゾートホテルを営業する。これだけ聞くと成功に疑問符をつけがちになるが、この本を読むと、その顧客、ホテル立地戦略が納得できる。
またホテル経営に関しても、欧米スタンダードを尊重しながら、日本の良さを生かした独自の経営モデルを創り出し、その日本モデルを世に問おうとする著者の気概が伝わってくる。日産のゴーン氏を例にあげるまでもなく、トップの明確な戦略、メッセージにより企業の成功は大きく左右されるものである。多少紆余曲折はあると思うが、これだけ明確な戦略、気概をもつトップの企業(ウィンザーホテル洞爺、2002年6月開業)は、恐らく成功すると思う。
また、果てしない低価格競争で不況に落ち込んでいる日本経済に対して、著者のホテル戦略は不況脱却の一つのモデルを例示しているとも言え、ホテル以外の経営者にも参考になる本だと思う。
更に、リゾートホテルにより疲弊した北海道経済を立て直すという、社会的意義に賭けてホテルを買収したセコムの決断には、これからの企業のあり方を見る思いがする。
長崎のハウステンボスという大きなプロジェクトを
手掛けた作者が、見切りをつけ、
小さなある意味弱いともいえる町だった洞爺湖への
進出を決めることへの執念、ホテル再建へに意気込む、フツフツとした
欲望を現実のものへとしていくサクセスストーリーに、
どんな努力もおしまない
作者の意気込みに感動した。
そして読む側にも意欲を掻き立てさせる内容。
作者の努力の賜物以外何ものでもないことに少しも
おごらず、洞爺湖の素晴らしさをも全面にアピールできている
素晴しい内ようだと思う。