切ない愛の物語
★★★★★
古典というととっつきにくい印象があるけれど、そんな心配は杞憂でした。
マハーバーラタの中で、最も切ない愛の物語と言われているらしい、この作品は、恋愛物語としてさらっと読めました。
後ろに、訳注や、解説が載っていて、初心者にも、この物語の意味合いがわかるように、わかりやすく物語のあらすじと、解説が載っています。
そこを読んでから読み始めても十分楽しいです。
ダマヤンティー姫が一途に夫ナラ王を思い続ける一途さに胸を打たれます。
本当に、切ない恋の物語だけれど、最後がハッピーエンドなのでほっとします。
また、訳文は難しい単語もあるけど、平易になるように書かれているので、読み進めるのが苦痛ということはありませんでしたが、何度か辞書を引きました。
これを機会に、マハーバーラタ全文読破にも挑戦したいと思わせてくれるきっかけになる作品でした。
古代インドの愛の物語。
★★★★★
大叙事詩『マハーバーラタ』に登場するユディシュティラ王は、
賭博で大負けて王国全てを失い、森の中で暮らす破目に。
そんな時、彼は聖者から同じ境遇に陥ったナラ王の物語を語って聞かされます。
それがこの物語。
注が少なく、ときどきよくわからない固有名詞もありますが、
話の筋には影響ないので問題ありません。
訳も美しい日本語なので読みやすいです。
インド人なら誰でも知ってる話なので、
インド理解に一読してみるのも良いでしょう。
ちょっとアラビアンナイト風
★★★☆☆
サンスクリット文学として有名なマハーバーラタの一部だそうです。
ナラ王に恋したダマヤンティー姫は、婿選びで神々を退けてナラ王を夫に選ぶ。二人の子供にも恵まれ幸せな生活をしていたけれど、魔王の呪いにかかったナラ王は賭けですべてを失いさまよい歩く。夫にひたすらついていっていたダマヤンティー姫だったが、途中で置き去りにされ悲嘆のあまり狂女のように成り果てながら夫を捜し歩く。父王の国に戻った姫は、それでもナラ王を探し続けて最後には夫とめぐり合い、最高の幸せを得るというお話でした。
姫の待っているだけではない行動力とひたむきな愛が生き生きと描きだされていた。
読みやすい日本語訳だったのでよかった。途中の「王よ」とかいう呼びかけは削っちゃったほうがよかったのではないかと思いましたが。
ふろくの解説を読んでから本編に入るとわかりやすいかも。
ヒンズー教と言っても古い時代のものらしく、ブラフマーとかじゃなくてインドラ神が偉いらしい。
それに神様が人間の世界に気楽に下りていっちゃったり、神と人との距離が近いように感じた。
その分普通の人とバラモンとの距離は感じましたけれど。
インド古典なのに分かりやすく、内容も面白い。
★★★★★
インドの聖典を訳した本は、訳文を読んでも分かりにくいものが多いが、この本は、分かりやすい内容でストーリーも単純明快でかつ非常に面白い。いつの間にか、ナラ王とダマヤンティー姫の応援者になってる自分がいた。日本の昔話を読むような気軽さで読めて、インドの古典を読むにあたって、最初に読むと、非常に役立つのではないかと思う。