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絆 (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 双葉社
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法廷のみで事件の真相を追究していく作品 ★★★★☆
法廷のみで事件の真相を追究していく作品は初めて読んだが、被告人が自白している事件を無実だと主張する弁護士が筋道を立てて覆していく様子は読み応えがあった。普通、弁護士は被告人の利益を第一に考えるものだが、被告人の発言を無視してまでも被告人の無罪を主張する姿は新鮮で心を打たれた。
発表から20年経っても色あせない、感動の人間ドラマ ★★★★☆
’88年度「第41回日本推理作家協会賞」受賞作。

「夫殺し」の起訴事実をすべて認めた被告人と、あくまで無実を主張する弁護人。事件の「真相」を明らかにして、無実を勝ち取ることが、被告の利益を最優先するのが務めの弁護人にとって、いいことなのかどうか、これが本書のテーマのひとつである。

裁判の進行につれて明らかになる秘められた意外な事実・・・。裁判とは何なのだろうか。真実が明るみに出ることは、ある人間の不幸を導き出す。被告人は、このことを避けるために、無実の罪を背負う覚悟をしたのだ。このドラマこそが本書のもうひとつの、そしてメインのテーマである。

本書は、終始、法廷内だけを舞台にして、‘私’こと、ある司法記者の目を通して、進行してゆく審理を追ってゆく。この独特のスタイルが、弁護人の行動、証人たちの証言、被告人の心理状態を生き生きと描写する結果を生んで、ただの法廷ミステリーの範囲を超え、本書をして、発表から20年経っても色褪せない感動の人間ドラマとならしめている。
緊迫感あふれる好篇 ★★★★☆
第41回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。
法廷ものといっても、法廷外での調査活動が中心となる作品が多いなかで、この作品は意図的にその殆どを法廷シーンのみで構成している点が特徴である。
被告の無実を確信する弁護士が真相を暴いていくという定番のストーリーながら、弁護士がどうして真相に気づいたのかといった点をあえて排して、抑制のきいた文体で淡々と法廷でのやりとりを描写する形式は、むしろ緊張感を際立たせる効果を挙げている。
派手さやケレン味がないことから、推理作家協会賞の受賞作としてはそれほどの知名度があるとはいえない本作だが、作者ともどももっと評価されて良いように思う。

感涙の法廷サスペンス ★★★★★
犯行を自白した被告人と、無罪を確信する弁護人。
被告人の利益となるのは真実のみ、という信念をもって法廷に臨む孤高の弁護士、
原島は言う。「人には命よりたいせつと思うものもあるということを、頭に入れて
おいていただきたいと思います」
最近では横山秀夫の「半落ち」が本作と似た部分を持っていますが、数ある法廷
もの、冤罪ものの中でも傑出した出来です。
早い展開でぐいぐい引っ張るリーダビリティと、サスペンスフルなストーリーで
ページをめくる手が止まりません。そして最後は涙。
法廷ものだからってお堅いと思わないで下さい。稀にみる傑作です。