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「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか (角川oneテーマ21)

価格: ¥780
カテゴリ: 新書
ブランド: 角川書店
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マンガやアニメが国策にされていることの異常さ ★★★★☆
最近,21 世紀の日本が世界にウリにするのはコンテンツであり,そのひとつの中心はマンガやアニメだという声がおおきくなっている. この本はそういう議論の異常さをもう一度おもいおこさせてくれる. サブカルチャーだったはずのマンガやアニメが国策にされてしまっている. 第 2 部はそれに対する批判だ.

それとともに,第 1 部では日本のマンガやアニメが日本オリジナルではないことが強調される. それとともに,それらが太平洋戦争におおきな影響をうけて独自性をえたことも論じられている. オリジナルでないことよりは戦争に影響をうけたことのほうがむしろ重要な指摘だろう.
オリジナリテイー論の不毛 ★★★☆☆
第2部は結構読み応えがあったが、第1部は同意できないし、不毛なオリジナリテイー論には多少うんざりした。たしかにデイズニーの影響を受けているのは事実だが、日本の漫画が、アメリカの亜流だという著者の結論は納得できない。それはあまりに文化のオリジナリテイーを狭く捉え過ぎだ。この論を突き詰めていけば、日本や世界に独自の文化はほとんどないことになってしまう。

例えば、アメリカの美術もヨーロッパの影響をおおくうけているのは事実だが、ポロックやジェフクーンズは、ルーベンスやピカソとは別物だ。誰もがアメリカ独自の美術の成立を、ヨーロッパ人も含め疑わない。ゴッホが日本に心酔し、浮世絵から影響を受けたのは事実だが、ゴッホを日本美術の亜流と考える人はいないだろう。同じようにスラムダンクやナルトやトトロはすでにアメコミとはまったく別のものだと私も思うし、アメリカ人にしてもそう思うだろう。要は程度の問題だと思う。たとえ影響をうけていても、そこから独自の進化を遂げれば、そこにオリジナリテイーを認めるべきだろう。

業界内の人間でも同意できる内容だ ★★★★☆
コンテンツビジネスを日本の製造業の次に来る基幹産業になると期待する風潮はやめた方が良い。アニメーションビジネスはニッチ産業であって、次のトヨタ、ソニーはここからは生まれない。この誤った流れに乗じ、無知な投資家から金を巻き上げる詐欺師的なコンテンツベンチャー経営者が後を絶たない。業界のプロなら知っている実態を公に知らしめる本書は、アニメーションビジネスに関わる前に一読することをお薦めする。
第二部は説得的 ★★★★★
 1958年生まれの戦後民主主義に肯定的なまんが原作者・編集者・評論家と、1976年生まれの左翼的評論家が(両者の役割分担については287頁参照)、「まんが/アニメーションにとっては決してプラスになるとは思えない」ジャパニメーション国策化の動きの無効・無根拠性を徹底批判するために、2005年に刊行した本(みなもと太郎も関与)。第一部は日本の漫画・アニメ史のイデオロギー批判的な回顧であり、1)現在の日本の漫画・アニメがディズニー・ハリウッドの二次制作として始まり、その結果美術から自立して記号的・無国籍的なキャラクターを生み出したこと(これが普及の原因であるとされる)、2)戦時下の要請により、科学的な兵器リアリズムと透視図法的な映像的手法を駆使し、記号的な不死の身体性を持つ主人公を使い、鳥瞰的に物語を構成するという、戦後漫画の基本形ができたこと、3)戦後に手塚治虫が記号的なキャラクターを受肉させ、内面を持たせた上で、倫理的に暴力性を抑止したが、70年代以降徐々にこの抑止が解除されていったことが述べられる。著者はこの3点を踏まえて現在の国策化に警鐘を鳴らすが、言わんとするところは分かるけれども、正直言って批判としては抽象的すぎる感が否めない。他方、第二部は国策化推進派のレポートの分析であり、内外の漫画・アニメ市場の狭さ、配給ルートを支配するハリウッドの圧倒的な経済的な強さ、オタク市場の「国辱的」要素の強さと収益性算定の困難さ、アニメーター養成プログラムの問題性等が指摘され、漫画・アニメが現在十分自律的にやっていける以上、対米追随と利権のための国策化は拒否する、という結論が導かれる。この第二部は説得的に思える。総じて、第一部と第二部のつながりが希薄であるように思えるが、興味深い本ではあった。
正論は通じるか!? ★★★★☆
中国にパクられたらマジギレするくせに、ハリウッドにパクられたらデレデレと喜ぶ。
そんな日本の風潮の不整合を容認する為政者に対する、不快感を表明した本です。

さて、不整合性を指摘する言葉には、
「中国にマジギレするならハリウッドにもマジギレするべきだ」
「ハリウッドを容認するなら中国も容認するべきだ」
の2つがあり得ますが、
本書は、
「クリエーターとしては、中国にパクられてもハリウッドにパクられてもデレデレと喜びたい気持ちになる」
「業界人としては、中国に正当な対価を払わせても金銭的メリットはまるでなく、ハリウッドにこそ対価を払わせるべき」
というような論調になっています。金銭面での裏付けは、あまり見慣れない論調で新鮮な驚きがあります。

しかし今の日本の世論は、臆面もなく「格下にナメられたからキレてるんだ、何が悪い」と言わんばかりなので、もうひとつ言葉が必要だったと思います。